2026年9月(2)試聴レポート

YAMAHA 5000シリーズ 試聴レポート

試聴レポート~お客様より~2026年9月(2)

YAMAHA Flagship 5000 Series

YAMAHAのプリアンプ「C-5000」とパワーアンプ「M-5000」は、2018年の試聴レポートでもご紹介しておりますが、当時から自身の経験も積み重なり、試聴用ソフトもより洗練されたものへと進化したことから、今回改めて試聴することとした。

楽器製造で1世紀、オーディオにおいても半世紀以上の歴史を誇るYAMAHAは、まさに「音が生まれる瞬間」を知り尽くしているブランドである。YAMAHAが目標として掲げるサウンドコンセプトは以下の通りだ。
1、小さな音でも遠くまで届く、抜けの良い音の解放感
2、音楽の持つエモーショナルさ
3、演奏者のタイム感やグルーヴ感
4、空間で生まれる美しいハーモニー
5、豊かな響きを再現する音場感と、音楽的な低音に支えられた揺るぎない音像感
これらを追求しながら、聴き手が音楽に没頭できるよう、芯があり音程感がしっかりした抜けの良さ、そして音楽を下支えする質の高い低域表現を目指して開発されたという。
今回は、純正の組み合わせであるスピーカー「NS-5000」を使用し、その真価と実力を改めてじっくりと確かめた。

技術的特徴

【プリアンプ:C-5000】
・全段バランス増幅、フローティング&バランス方式採用のオーディオ回路
・信号経路の究極的な純化を目指したブックマッチ・コンストラクション
・理想的な左右独立・左右等長給電を実現する独自のシャーシレイアウト
・左右独立 銅メッキケース封入の大容量トロイダル電源トランス
・ピンポイント支持とプロテクトを両立した真鍮削り出しの新構造レッグ

【パワーアンプ:M-5000】
定格出力:100W+100W(8Ω)、200W+200W(4Ω)
パラレルMOS-FET出力段装備のフローティング&バランス・パワーアンプ
構造的な接地に着目したメカニカル・グランド・コンセプト
圧倒的な音のスケールを支える大容量トロイダル電源トランス
ピンポイント支持とプロテクトを両立した真鍮削り出しの新構造レッグ
真鍮削り出しの大型スピーカー端子

リファレンス機器

●SACDプレーヤー:marantz/SACD10
●プリアンプ:YAMAHA/C-5000
●パワーアンプ:YAMAHA/M-5000
●スピーカー:YAMAHA/NS-5000

音の印象:

音質は上品で静けさがあり、実に落ち着いている。音色は無色透明に近く、どこか「白」を連想させる純粋さだ。分析的な解像感を主張するのではなく、適度な太さを持つ音が音場へと自然に溶け込み、聴き手に心地よい安心感を与えてくれる。身近で聴いているかのような違和感のない自然さが漂い、いつまでも聴いていたくなる音だ。

一方で、さまざまなジャンルの音源を聴き込むと、優しい音はどこまでも優しく、鮮烈な音は鮮烈に、ダイナミックな音は力強く再生する懐の深さを見せる。過度な華やかさや艶やかさで飾るタイプではないが、表現の幅は非常に広い。

特筆すべきはクラシックを再生した際の奥深い魅力で、楽曲が持つ魔力に引き込まれていくような没入感がある。また、優秀録音のCDをはじめ、SACDやDSD音源におけるフォーマットの違いや空気感の差を明確に描き分け、再現能力の高さをまざまざと感じさせる。NS-5000との組み合わせが相まって、より深い音響世界を堪能させてくれる試聴となった。


YAMAHA 5000 Series 試聴 YAMAHA 5000 Series 試聴 YAMAHA 5000 Series 試聴

ジャンル別試聴

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1)ヴォーカル:
手嶌葵 Aoi Worksより さよならの夏
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純正組み合わせらしい素直な鳴り方だ。音像は程よい厚みと太さを伴って明瞭に描かれ、ヴォーカルが演奏空間へ自然に浮かび上がる。声も楽器も背景へと見事に溶け込んだ非常に自然な音調だ。透明感も高く、ピアノの響きや歌声が適度な力強さで再現され、深い安心感に浸ることができる。すべての音要素が調和したバランスの良さが際立つ。

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2)ジャズ(ヴォーカル・コンボ):
Sinne Eeg Face The Musicより月光のいたずら
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派手さを狙った音ではないが、落ち着きの中に確かな躍動感を感じさせる。ヴォーカルの発音は明瞭で、シンネ・アイの実力を余すことなく表現してくる。音には適度な太さと実在感があり、伴奏楽器の存在感や分離感も実に良好だ。低音も自然に響き渡り、極めて優等生的な鳴り方を見せる。ツィーター、ミッドレンジ、ウーファーの振動板素材が統一されている恩恵が大きく、まるでフルレンジスピーカーのような音色の統一感がある。優秀録音ソフトのポテンシャルをきわめて高く引き出してくれる。

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3)ビッグバンド・ジャズ:
Manhattan Jazz Orchestra SING SING SINGよりSING SING SING
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再生される各楽器の質感は非常に自然で、落ち着きと迫力のバランスが見事に取れている。一つひとつの楽器が綺麗に分離しながら前にせり出してくる印象だ。力押しの大迫力ジャズとは一線を画す聴きやすさがあり、ドラムの躍動感も自然で長時間の試聴でも聴き疲れしない。

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4)クラシック(室内楽):
Beethoven:The Violin Sonatas Sonatas5
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静けさのある背景との自然なバランスの中に、ヴァイオリンとピアノの存在感が鮮やかに浮き上がる。激しく攻撃的なフレーズであっても破綻することなく破格の安定感で再現する。スタジオ収録の現場の空気がそのまま伝わってくるような臨場感だ。YAMAHAが持つ静寂感はクラシックの荘厳さにきわめてマッチしており、クラシック再生における一つの指標となり得る表現力と言える。ピアノの艶やかさ、繊細さ、力強さ、そして余韻の響きまでバランスよく聴かせる。不自然な響きは一切なく、ずっと聴いていたくなる安心感と調和感に満ちている。先端機器に見られる解像力は無いが、、DSD録音ならではの良さを最大限に発揮させる再現力を備えている。

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5)クラシック(管弦楽):
Mussorgsky 展覧会の絵 よりプロムナード、こびと
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各楽器の分離が良く、オーケストラを重厚かつ荘厳に再現する。背景の静けさと全体の落ち着きがバランスよく調和しており、各楽器の持つ質感の再現性が素晴らしい。音には適度な太さがあり、すんなりと耳になじむ自然さに満ちている。楽曲が描く絵画的な情景やイメージも掴みやすく、CDの録音状態の良し悪しまでも明確に描き分けてみせる。

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6)ジャズ(モダン・ジャズ / ジャズ・ピアノ):
トーマス・エンコ
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ジャズピアノを実に上品かつ落ち着きを持って表現する。ワイドレンジ感とピアノの美しい音色が相まって、演奏の素晴らしさがダイレクトに伝わってくる。ここでもスピーカーユニットの素材統一による恩恵があらわれており、フルレンジスピーカーのごとく自然な音場が再現される。トランペットの金属的な音色もきわめてナチュラルかつ迫力があり、いつまでも浸っていたくなる心地よさだ。

TODAY’SONG

今宵は、ELLA FITZGERALD / 『ELLA IN BERLIN』を聴きます。小気味よいスウィング感と、ストレートで心地よい歌唱表現が大きな魅力です。エラの抜群の歌唱力、優しさ、明るさが溢れ、ジャズ・ヴォーカルの醍醐味が凝縮された名盤です。

ELLA IN BERLIN ジャケット ELLA IN BERLIN レコード盤

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