2026年10月(2)試聴レポート

KEF LS LUXE 試聴レポート

試聴レポート~お客様より~2026年10月(2)

KEF LS LUXE 次世代型ワイヤレスHiFi

現在のオーディオ業界は、新製品が発売されるたびに高額化が進んでいる。性能の向上は喜ばしいことだが、庶民的な感覚や若い世代の感覚からは、次第に手の届かない世界になりつつあるのも事実だ。メーカー側としても事業を継続するためには、新たな需要層を開拓していく必要がある。

そうした中で近年、注目を集めているのが、スピーカーにアンプやネットワーク機能を組み込んだ「アクティブスピーカー」だ。Apple MusicやSpotify、Qobuzなどのストリーミング配信の再生を前提としながら、システムを一体化することでコストパフォーマンスの向上を目指した製品と言えるだろう。もちろん、従来のアナログ音源の再生にも対応している。

配信音源の再生において課題となる伝送時の低ノイズ化についても、今回発売されたYAMAHA「NX-70A」やKEF新製品「LS LUXE」といったモデルを見ると、メーカー側で緻密なチューニングが施されており、ユーザーは音源を接続するだけで手軽に高音質を楽しめるようになっている。

テレビやラジオから流れてくる音には、スペックや音質に関わらず「ずっと聴いていられる」心地よさがあるが、これはメーカーが人の声を最も自然に再現できるようチューニングしているためだという。今回取り上げる製品もそうした親しみやすい良さを備えつつ、本格的なHi-Fiクオリティを手頃な価格帯で実現している。若い人々にこそ、この手軽さと本格的な音楽の素晴らしさを味わっていただきたいと思い、本機を取り上げた。

KEF LS LUXE 試聴

技術的特徴

1、ロス・ラブグローブ(Ross Lovegrove)デザイン
世界的デザイナーであるロス・ラブグローブ氏による彫刻的かつ流麗な有機的フォルムを採用。音響工学と工業デザインが高次元で融合しています。

2、不要振動を抑え音響特性を最適化するキャビネット
高剛性で耐久性に優れたグラスファイバー入り合成樹脂(BMC)を採用。内部補強材を最小限に抑えつつ十分な内部容積を確保。滑らかで丸みを帯びたキャビネット形状が回折現象を低減し、音響効果を最適化します。

3、MAT®搭載 第12世代6.5インチ Uni-Q®ドライバー
点音源再生を追求した点音源同軸ドライバーを搭載。Metamaterial Absorption Technology(MAT)により、ツイーター背面から放出される不要な音の99%を吸収し、濁りのない澄み切った高域を実現します。

4、Uni-Qドライバーのキャビネット完全分離(デカップリング構造)
Uni-Qドライバーをキャビネット構造から機械的に分離させることで、振動の相互干渉を排除。解像度と音場のSN比を飛躍的に向上させています。

5、新技術 Velocity Control Technology(VECO)搭載
超精密センサーと電流駆動型アンプを組み合わせた革新的な制御技術。センサーがコーンの動作(速度)をリアルタイムで計測し、入力信号との差分を瞬時にフィードバック補正。振幅時の歪みやダイナミック・コンプレッションを大幅に低減します。

6、LS LUXE専用チューニングの「Music Integrity Engine®(MIE)」
KEF独自のDSPエンジン(MIE)をLS LUXE専用に緻密に最適化。再生音量や演奏時間(負荷)にかかわらず、音の位相整合性、正確性、そして微小信号の細部表現力を一定の正確さで保ち続けます。

7、高音質マルチアンプ駆動(計4基のアンプを内蔵)
各スピーカーに高域(ツイーター)用として100WのクラスABアンプ、低・中域(ウーファー)用として280WのクラスD電流駆動型アンプを独立搭載。専用マルチアンプ駆動により、各ユニットのポテンシャルを極限まで引き出し

8、多彩なネットワーク再生&有線接続に対応
Amazon Music、Qobuz、Spotify Connectなどの主要ストリーミングサービスに対応。テレビ(HDMI eARC)、CDプレーヤー、ゲーム機などの多彩な有線入力にも対応します。

9、専用アプリ「KEF Connect」による柔軟な音響調整
部屋の音響環境に合わせて最適なセットアップが可能。「ノーマルモード」では簡単な設問形式でセッティングが完了し、「エキスパートモード」では1dB単位での精密なEQ微調整が行えます。

10、サブウーファー出力端子を装備
サブウーファー出力端子を装備

試聴機材・音源

Qobuz ストリーミング音源を使用

音の印象:

音楽を聴く最大の喜びとは、オーディオという存在そのものを忘れ、歌唱や演奏そのものに心から没頭できることではないだろうか。

KEF「LS LUXE」が奏でる音に耳を傾けると、音の明瞭さやスピード感、音場の圧倒的な立体感はもとより、ボーカルや楽器の持つ濃密な質感、ビッグバンドやオーケストラの圧倒的な存在感、そしてその場の空気感までもが、きわめて自然に胸へと染み込んんでくる。立ち現れる音に一切の違和感がなく、何時間でも聴き続けていたくなる心地よさがある。

もちろん、さらに高額なセパレートシステムやハイエンド機材を求めれば、よりS/N比が高く、透き通るような透明感や魅惑的な音色を持ち、スケール感豊かに低音が身体を揺さぶり、歌手や奏者がまさに目の前に佇んでいるかのような再現力を誇るシステムは存在する。

しかし、音楽という芸術において作曲家や演奏者が意図した「聴き手に感動を与える」という本質的な目的を果たすうえで、LS LUXEは十分すぎるほどの役割を果たしている。

明瞭で伸びやかなボーカル、伴奏ピアノの艶やかな響き、テナーサックスの心地よい低域の深み、身体ごと引き込まれるようなビッグバンドの躍動感。さらにはクラシックにおける上品な重厚さ、バイオリンの弦が擦れるリアルなタッチ、そして色彩豊かな質感を持って響き渡るトランペットのファンファーレまで、それぞれの魅力を余すところなく描き出し、オーケストラの壮大なスケール感も十分に堪能させてくれる。
ライフスタイルに寄り添いながら、最高峰の音楽体験をもたらす——まさに「新たなハイファイ・メディアの時代」が始まったな、と、実感した。


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ジャンル別試聴

使用音源:Qobuz(ハイレゾストリーミング)

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1) ボーカル(J-POP / アコースティック)
手嶌葵『SIMPLE IS BEST』より「さよならの夏〜コクリコ坂から〜」:
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非常に澄み切ったクリアな音の立ち上がり。声には自然な厚みと明瞭度があり、ピアノとのバランスも絶妙である。背景の静寂感が際立っており、S/N比の高さが強く実感できる。それでいて音を緻密に追わせるような分析的な鳴り方ではなく、空間に心地よく広がる残響感を残し、Qobuzハイレゾ音源ならではの情報量の豊かさを伝えてくれる。存在感あふれるクリアなピアノの質感。スピーカーユニットとアンプを同一ブランドで一体設計(アクティブ化)したからこそ成し得た、きわめて自然な描写力が際立つ。

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2)ジャズ・ボーカル
Sinne Eeg『Staying in Touch』より「Spring Waltz」:
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音源自体のS/N比の高さが見事に引き出される。ベースの沈み込みが深く、ハイスピードで応答性に優れ、もたつき感はない。ボーカルとベースの配置が立体的に浮かび上がり、眼前で演奏されているかのような生々しい定位感を描き出す。ストリーミング配信でここまでの解像度と実存感を享受できることに、オーディオの時代の進化を深く実感させられる。

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3)ビッグバンド・ジャズ
Manhattan Jazz Orchestra『Manhattan Jazz Orchestra Plays Disney』より「He’s a Pirate」:
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一器一器の質感が実にリアル。明確な輪郭と落ち着き、厚みとスピード感が同居している。重心の低く量感豊かに広がる低域が、ビッグバンド特有のスイング感と圧倒的な存在感を倍増させている。聴き始めはしなやかで優しいサウンドかと思わせるが、実際にはクリアで躍動感に溢れ、押し出しの強い迫力に満ちた、なかなかのスケール感と実在感がある。

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4)クラシック(協奏曲)
『ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調』 Herbert von Karajan / Anne-Sophie Mutter:
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オーケストラがしなやかで重厚に響き渡り、ムターの奏でるバイオリンの音色が華やかな雰囲気を醸し出す。音像の定位が極めてシャープで、作品が持つドラマチックな世界観がストレートに伝わってくる。バイオリンの旋律は優雅かつ魅惑的に響き渡り、ソリストとオーケストラとのバランス感覚も実に良い。

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5)クラシック(管弦楽曲)
『ムソルグスキー:展覧会の絵』 Paavo Järvi:
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大編成オーケストラでありながら非常に聴きやすく、広大な音場の中に各楽器の配置と質感が明瞭に描き分けられる。重厚な旋律の中にも、各パートの音色を優雅に響かせるニュアンスの豊かさがある。全体のトーンバランスと調和が見事で、きわめて自然体な響きだ。作品そのものをじっくりと味わうことができ、オーディオ機器の存在を忘れさせて演奏に没頭出来る良さがある。

TODAY’SONG

今宵は、ダイアナ・クラール(Diana Krall)のアルバム『When I Look in Your Eyes』を聴きます。 1999年にリリースされた本作は、彼女の通算5作目にあたる名盤。低音域を活かしたスモーキーで囁くような歌声に確固たる自信を深めた、まさに充実期を迎えた頃の傑作です。グラミー賞でも複数部門を受賞したとおり、ボーカルの描写力はもちろん、アコースティックな楽器の質感や空気感に至るまで、極めて優れた録音クオリティを誇る作品でもあります。 夜の静寂のなか、じっくりと音の余韻に浸りたくなる一枚です。

When I Look in Your Eyes ジャケット

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