「珈琲アガルタ」 誕生

10月14日、静岡県沼津市新沢田にジャズ喫茶「珈琲アガルタ」が誕生した。いち早く沼津経済新聞社、Yahoo！ニュースに取り上げられ、また店舗のインスタグラムからもより詳細な情報を発信している。「アガルタ」の由来は、マイルスデイビスが1975年大阪フェスティバルホールでの公演を記録したレコードを起因としているという。

ジャズとの出会い

店主の木村俊介さんは東京銀座で育ち、お母様が沼津の出身であるということ。ジャズへの関わりは中学生時代と早く、友人の弾くピアノに合わせ、テナーサックスを吹いていた。高校生になってバンドを組み、学校帰りには銀座通りで行われるアルトサックスの生演奏を聴くために、銀座から京橋まで歩いていた。大学に進学し、ジャズ研（軽音楽部）に所属。カメレオンと言うバンドを組み、京都大学のコンマスが結成したひろしオーケストラにも参加している。その間にハービーハンコック、ウェインショーター、デビッドマシューズ等の公演を観て、生バンドの興奮を味わい、ニューヨークまでハービーハンコックを観に出かけた。大学時代は当時、河原町三条にあったジャズ喫茶ブルーノートでバイトをしながらジャズを勉強している。バイト先の店長が、マイルスデイビスの大阪公演に関わり、その時のアルバムが「アガルタ」「バンゲア」で、店名の由来はそこにある。好きなテナーサックス奏者の演奏は、譜面が起こせるまで聴き込み理解を深めるそうだ。人がジャズを聴くと「かっこ良い」という感覚がまず起こる。どんな演奏が、その感覚を引き起こすのか、突き詰めるという。好きなジャンルは、若干ファンキーっぽいハードバップ。伺った際の朝一番にはドアを開けるとリーモーガンの「コーンブレッド」や「サイドワインダー」が聴こえてきた。

仙台から沼津へ

卒業後は仙台で工業製品の企業に就職し14年間務めたが、ジャズへの思いを断ち切れず、第二の故郷で開業することとなる。奥様とは仙台時代に出会っている。御店の内装は一級建築士である奥様と共同で仕上げ、カウンターに貼られたタイルの深いブルーがとてもジャズと合う。仙台＋ジャズと聞くとブルージャイアントという漫画を思い出す。主人公がジャズに憧れ、テナーサックスの演奏に熱中し上京する。そこからブルーノート東京の舞台に立つまでが描かれ、ドイツ編ニューヨーク編へとつながっていく。なぜか仙台には、若者の情熱を掻き立てるエネルギーが存在しているように思う。定禅寺ストリートで行われるジャズフェスティバルは有名だし、あちこちにジャズを聴かせるお店が点在する。ここ沼津の「珈琲アガルタ」の開店も、若い力を沸き上がるきっかけとなりそうな予感。　

新たな交流の場

沼津は昭和の街並みが残るような風景が続いている。そこでの珈琲アガルタの開店は光がパッと灯ったような存在になりつつある。店内に入ると往年の名器、JBL 4344の存在が目を引き、こだわりの自家焙煎珈琲の香りに落ち着く。店主が淹れる珈琲は生豆から焙煎している。朝一番の仕事は生豆の選別から始まり、焙煎へとつながる。浅煎りのエチオピア、中煎りのブラジル、深煎りのガテマラをそれぞれ趣のある器「鼠 志野（ねずみしの）」「織部彩」「大谷焼」の珈琲茶碗で提供し、奥様手作りのケーキもセレクトできる。お客様は若い人が多く活気に溢れ、社交場を求めていた人たちの新たな交流の場となっているようだ。

店内設置機器

設置されているオーディオ機器は、スピーカーがJBL4344、プリメインアンプはMcIntoshのMA-7200、レコードプレーヤーはデノンDP-500M、カートリッジはDL-103と、ジャズを聴くには黄金の組み合わせである。店内に流れる音はからっとした躍動感に富んだ音で、機器の存在を忘れ、曲に傾注する良さを持っている。スピーカーとカウンターとの距離が近いのでボリュームはある程度抑えての再生となりそうだ。ソースは300枚のCDソフトと650枚のレコードで、ハードバップを中心としたジャズが聴ける。CDの再生にはプレーヤーからMA-7200内臓のDACに、コアキシャルケーブルで接続し再生される。

AVBOXと共に選定した機器から再生されるジャズが「珈琲アガルタ」のさらなる発展につながればと思っています。営業中にも拘らず色々とお話いただきありがとうございました。

information

■珈琲アガルタ
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TEL：070-6953-9386
営業時間：10時～17時
定休日：日曜・月曜・祝日
所在地：沼津市新沢田町20-2
バスでのアクセス：沼津駅南口　8番富士急シティバス根方線　新沢田下車
※詳しい情報は珈琲アガルタさんのInstagram等で確認お願いいたします

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