

今回は、何時もの製品レポートとは違って、私のジャズの愛聴盤をAV BOXに常設している機器を使って試聴し、どんな印象を受けるか挑戦して見た。ジャズを聴くには、アルティック、JBLが定番スピーカーと決まっているが、最新のスピーカーはどんな表情を見せるか、既成概念にとらわれず試聴した。私がスピーカーに求める要件として音像が明瞭で歪感が無く、定位がはっきりしていれば満足です。現代のスピーカーが新旧のジャズをどのように再生するかを確認しながら聞くことといたします。
そして当日、私にとっては夢のシステム「B&W 802/D4」でじっくり聴き、愛聴盤への思い入れとその感想を書いていきます。
BULE NOTE系のエネルギーを浴びるような音を聴くのは段々しんどくなり、リラックスしてアドリブに身をゆだねるようなアルバムが好きになっています。
【1】JUNE CHRISTY (ジューン・クリスティ)THE INTIMATE MISS CHRISTY
【2】BILL EVANS(ビル・エヴァンス)PORTRAIT IN JAZZ
【3】LEE MORGAN(リー・モーガン)CANDY
【4】BOBBY HUTCHERSON(ボビー・ハッチャーソン)APPENINGS
【5】DUKE ELLINGTON(デューク・エリントン)THE GREAT PARIS CONCERT
【6】KEITH JARRETT(キース・ジャレット)STILL LIVE
・スピーカー:B&W/802D4
・LPプレーヤー:YAMAHA/GT-5000
・カートリッジ:DENON/DL-103R
・プリアンプ:Accuphase/ C-2900
・パワーアンプ:Accuphase/A-75
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【1】JUNE CHRISTY/THE INTIMATE MISS CHRISTYよりTIME AFTER TIME
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フランクシナトラが歌い、「時を重ねても、君を愛し続けているのは、とっても幸せなことだ」と言う歌詞。チェットベーカーのアンニュイな歌声で流行りましたが、私はジューンクリスティのハスキーでチョットお酒が入っているような歌い方が好きです。
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♪ 暖かい音色で、等身大のJUNEがいるよう。ハスキーな声の中にやんわりと色気が感じられる。声を発する口の存在は明瞭で広がらない。女性歌手の存在を軸に、伴奏を組み立てているのが良く分る。JUNEの歌に対する思い入れが明瞭で、旋律だけの表現とは違う。レンジが広く、歌、伴奏が空間の中にストレスなく広がる。ギターの弦の余韻が良い。低音の再現が良く音に厚みがあり、実存感がある。歌手として、実力があるのが良く分る。

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【2】BILL EVANS/PORTRAIT IN JAZZよりAUTUMN LEAVES STEREO版
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演奏開始1分後あたりから始まるEVANSのPIANOとSCOTT LAFAROのBASSとのPLAYが緊張感の中に絶妙のやり取りが行われ、思わず背中がゾクゾクする気がします。長年聴き続けても飽きることはありません。
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♪ ピアノの音に厚みがあり、タッチが力強く、和音の余韻が綺麗。ピアノの音の厚みと分離の良さ、音の切れの良さは完成度が高い。目の前で弾いているような存在感がある。スコットラファロのベースが重みをもって響く。二人の間の緊張感は相当なものだが、演奏芸術の美に昇華している。こんな音まで入っているのかと感激する。ビルエバンスに良い録音は無いと言われるが、それでも生々しく聞こえる。ドラムのシンバルの金属音が良い。オーディオを忘れ、演奏に引き込まれる。この演奏がますます好きになる。

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【3】LEE MORGAN/CANDYよりCANDY 、SINCE I FELL FOR YOU
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新宿DIG(60年代を象徴するジャズ喫茶)のJBLのスピーカーから流れた曲で、LEE MORGANのチョット不良ぽい演奏が自分のJBLではなかなか再現できず、音作りの目標になったLPです。また、SINCE I FELL FOR YOUのバラードは、淡々と吹いてはいるが、LEE MORGANの天才ぶりが感じられる一曲です。
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♪ 音に厚みがあり、切れがあり、エネルギー感がある。昔聞いたJBL/LE8T と真空管アンプの音を彷彿とさせる。ソニークラークのピアノ音にも重みと切れがあり、スイング感に溢れている。音が生き生きと実存感をもって響く。ジャズ演奏の楽しさや、LEE MOGANの実力がまざまざと伝わって来る。ベースの音もにじまず、クリヤーに再現する。ドラムの音も充実感がある。聴いていて楽しい。トランペットの音色に重みがあり、LEE MOGANがうまいなあ、と感ずる。

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【4】 BOBBY HUTCHERSON/HAPPENINGSよりMAIDEN VOYAGE
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ボビーハチャーソンのクールなヴィブラフォンにハービーハンコックの知的なピアノが絡みます。涼やかな演奏に全てを忘れ没入します。ブルーノートの熱っぽいエネルギッシュな演奏を聴くのに、チョットしんどくなって聴き始めた曲です。
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♪ ピアノ、バイブ、ドラムの音が明確、明瞭に再現されて、それぞれがかっこよい。やはり音の厚みを感ずる。全体がクールなかっこよさに包まれる。細やかなバイブの演奏が生々しく、響きの余韻が良い。キング盤でも聴きごたえがあり、オリジナル盤を求めなくても不満は無い。

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【5 】DUKE ELLINGTON/THE GREAT PARIS CONCERTよりALL OF ME
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ジョニーホッジスのアルトソロとジャズバンドのダイナミックミックな演奏を見事にとらえており、非常に優れた録音だと思います。当日の、ライブの熱っぽさと興奮が伝わってきます。
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♪ ジョニーホッジスのアルトサックスが生々しい。ストレスなくのびのびと鳴り、音に厚みがあり、サックスの演奏の実力の程が手に取るようにわかる。厚みと繊細さが同居している。録音の良いレコードだが、他のレコードとの差をあまり感じることなく聴くことができ、B&Wの再現能力が高いのが分かる。

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【6】 KEITH JARRETT/
STILL LIVE よりSOMEDAY MY PRINCE WILL COME
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1988年ECM録音で、ジャズの舞台がヨーロッパにも移りECMレコードが登場した時、録音はエネルギー感の再現から余韻や静寂感も盛り込んだ繊細なものに変り、JBLも表現を陰影を含み憂いを感ずるものに変えた。そんなECMを代表する演奏者のKEITH JARRETT のSOMEDAY MY PRINCE WILL COMEは、デズニー映画のロマンティックなメロディの変転と、ゲイリーピーコックの繊細に呼応するベースと、ジャックジュジョネットの絶妙にバックアップするドラムのやり取りには、何度聴いても陶酔します。
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♪ 音に厚みがあり、存在感が際立つ。ECMレーベルらしい透明感が高く、響きを重視した録音が明瞭。演奏会場らしい残響を感じる。音像の分離が良い。普段聴きなじんだ演奏が別物のように感じる。キースの鍵盤を移動する手の動きが分かり、演奏が上質のものに感じる。普段はメロディだけしか聴いていなかったのか?と、疑問が生まれる。

1970年代、日本はオイルショックから立ち上がり、東京には活気があふれていた。しかし、アメリカとの格差はまだまだ開いており、豊かなアメリカ社会は光輝いていた。JAZZへのあこがれは、そんなアメリカへのあこがれと重なっていたかもしれない。仕事のふと空いた時間に、新宿のジャズ喫茶「DUG」で時間を潰そうと、半地下の空間に入って行った。ドアを開けると、ガラードのターンテーブル、SMEのトーンアーム、手作りの真空管プリアンプとパワーアンプが並び、レンガ造りの壁にはJBL L54 FRIMLINE(LE8T+PR8パッシブラジエーター)と言うスピーカーがかかっていた。そこから、LEE MORGANのトランペットが響き渡ったのである。なんとかっこよい演奏なのだろう。音には重みと切れの良さがあった。そのあと、L54 FRIMLINEを構成しているLE8Tが欲しくて、秋葉原をまわったが、試聴用のトランジスターアンプでは、DUGの存在感のある音は聞けなかった。やはり真空管アンプでなければダメなのか、と段々記憶の中から消えていった。
しかし、B&W 802 D4を聴いたとき、忘れていた音が思い出された。LEE MORGANのCANDYをかけると、音の厚み、輝かしい音、エネルギー感がよみがえってきた。ああ、求めていたのはこの音だ、と思った。ただ、802 D4は現代のスピーカーである。レンジの広さ、歪の無さ、S/N比、音像の定位、音像の明瞭さ、繊細さ、低音の迫力は遥に進歩していて、ジャンルを問わず生々しい音楽を奏でる。当時のJBLは「技術者が耳でジャズのエネルギー感を伝えるスピーカーを作っていたのだ」と良く分った。当時のJBLは弦楽器を再生すると金属的に聞こえた。現代のJBLスピーカーは繊細で、クラシックも違和感なく聴ける。録音の良し悪しも十分再現する。オリジナル盤も探しまわった。でも、今日の試聴を聴くと、オリジナル盤なんて関係なくなる。ブルーノートもキング盤で十分である。ビルエバンスも目の前で弾いているようである。
だけど、これを購入したら、今まで集めたレコードを聴き直す時間と、アンチオーディオのかあちゃんが、口をきいてくれなくなる時間の想像がついて、別の憂鬱が襲ってくる。とは言うものの、皆さんにも是非、上質なスピーカーでご自分の愛した音、楽曲を聴いていただきたいと思う。そこには何かが映り、自分の中の何かが動くのを、どこか心地よく感じられる時間があるからです。。。

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