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SOULNOTEとは「芸術家の魂の音」と訳すのでしょうか? 現在、株式会社CSRでチーフエンジニアを担う加藤秀樹氏は、NEC、日本マランツを経て、株式会社CSRでSOULNOTEの製品開発にあたっています。株式会社CSRは元日本マランツ取締役中澤矩長氏が設立した会社で、加藤氏は中澤氏の誘いを受け、商品開発、電気設計、構造設計、音質管理、プロモーションまでを担い任されている。加藤氏の設計思想は、音質に影響を及ぼす要因を全て取り除き、純粋に音楽を伝える、と言うもの。この度、AV BOXに加藤氏が掲げる理念が具体化された、3シリーズ(P-3、M-3、S-3 VER.2)が入店したと言うので早速、試聴に出かけて行きました。
先ずは加藤氏の設計哲学がまとめられた小雑誌(カタログ)がありましたので、技術的採用理由とその背景を引用します。普段は、技術的特色を記述していますが、細かい技術内容は、SOULNOTEのパンフレットもしくは公式ホームページを参照してくださればと思います。
音は振幅軸と時間軸に分けられ、振副軸は静特性として、歪率や周波性特性、S/N比等の指標になり、時間軸は動特性として、立ち上がり時間、インパルス応答波形、クロックジェネレーター等の指標になる。加藤理論では、音質は歪率、周波数特性、S/N比などのスペックのみでは語れず、動特性の方が人間にとって良い音と感じられることに通じる、と言っている。そして中澤氏からは「SOULNOTEを世界一のオーディオブランドにしてください」との伝言を受けている。
1) 加藤氏が動特性をCDプレーヤーやプリアンプ、パワーアンプの設計に取り入れる理由
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・人は立ち上がり速度の遅れを感じる。
・人は20Khz以上聞こえないとの前提に立ち20Khz以上をカットすると、音像の三次元な定位は分からなくなる。しかし、人は細かく広がる音像定位を感じ、それを生み出すためには、正確な位相管理が必要で、その為には、可聴帯域の10倍以上の周波性特性が理論的に要求される。
・クロック信号は、音質の半分を担うと言ってよく、より正確なクロックが必要とされる。
・アンプを無帰還回路にしている理由は、負帰還回路は、静的性能は良くなるが、音楽に生命力が無くなり、つまらない音になる。
・フォノイコライザー開発におけるS/N比の位置付け。 トランジスタ2段で増幅する場合、初段で大きく増幅させた方がS/N比が良くなる。聴覚上のS/N比は、あるところから逆になる。ギリギリまで静特性をおさえて、動特性(過渡応答の良い音)に優れた音は、S/N比のNが大きくなっても、Sがさらに大きくなるので、聴覚上のS/N比が上がる。
・CDプレーヤーには、オーバーサンプリングFIRデジタルフィルターを使用せず、ノン オーバーサンプリング(NOSモード)としている。NOSモードでは、音の鮮度、音場定位があがり、音楽的な楽しさを感じる。FIRモードはインパルス波形でエコーが出て、NOSモードは、インパルス波形は非常に美しいが、正弦波はガタガタと汚くなる。
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2)機械的な振動が音質に与える影響を排除する理由
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・シャーシーの構造は、天板、基盤、端子台を固定せず、配線は細くて軽いケーブルを使用する。各部品の振動の周波数特性が音に影響し、振動を抑えるより、軽くて自由にした方が、癖が付かない。RSCシリーズケーブルは、単線に発砲テフロンを施しただけの物。
・空気は閉じ込められるとダンプ材になるので、天板は、2種類の合板を3点で接合する。またオーディオラックの棚板に穴が開いているのは、空気ダンプから逃れるためである。
・シャーシーの共振防止対策には、筐体を、アルミと鋼材を組み合わせて製造している。電源トランスからの振動を防止するために、プリント基板を3点で支持し、固定しない。接続ケーブルの振動を遮断するため、端子類も固定されていない。共振は、特定の周波数にピークを作り、固定や重量を与えるダンピングは時間軸上の遅れを生じさせ、音を濁らす。
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●プリアンプ:SOULNOTE/P-3
●パワーアンプ:SOULNOTE/M-3
●CDプレーヤー:SOULNOTE/S-3 VER.2
●フォノイコライザー:SOULNOTE/E-2
●LPプレーヤー:YAMAHA/GT-5000
●MC カートリッジ:van den Hul (ヴァン・デン・ハル)/THE MC-10 SPECIAL
●スピーカー:B&W/802D4
現代のオーディオのトレンドは、透明感あふれる背景にクリスタルな音像が存在し、クールで格調高い音楽が展開する。しかし、SOULNOTEの音作りは、ちょっと違っている。音楽を流していない時の機器が作る空間は、少し、ザワッとした感覚があるが、いざ再生が始まると、スタジオやコンサートフォールの空間が表れ、その中に、歌手や演奏者が、前後左右の立ち位置を明瞭に、距離感を持って存在する。その声は非常に微細な発声や息遣いに始まり、大胆な力強い発声も余すところ再現する。楽器は十分な低音にささえられ、倍音は豊かに響き、オーケストラは、体感するような重低音で迫ってくる。岩崎宏美と国府弘子のデュエット、ツインマーマンのバイオリンと、ヘルムヒュエンのピアノのベートーベンのソナタ、峰純子とハンクジョーズのデュエッでは、各々が独立分離して、程よい距離感を持ってハーモニーを展開する。ジャズのビッグバンドや管弦楽では、力強い重低音の上に、各楽器が独立して存在し、各々がハーモニーを作り、スケールの大きい躍動感を感じさせる。我々がオーディオに求めるのは、作曲家、演奏家、歌手たちの血のにじむ様な努力にささえられた芸術性を聴きたいのであり、SOULNOTEの機器はそんな要望を十分果たしてくれているような気がする。現在は、コンピューター解析で、特性を管理する時代だが、SOULNOTEは昔ながらの耳で聞いた感覚を基準に音作りをしているのではないかと思う。古いジャズをCDで聴いても、アナログを聴かなければ十分満足できるレベル。しかし、アナログの音を聴くと、音が鮮明で力強く、迫力があり、この差は埋められないのかと思う。試聴を終えると、ほどよい満足感と疲労感が残り、いい音楽を聴いたと思う。今回の機器は総額12,000,000円もするが、もっと庶民的な価格で魂の音が聴ける機器の開発を期待したい。これを書いている時、プリメインアンプA-3の発売が発表された。2023年10月の予定で1.843.000円と高価であるが、入店したらヒアリングしてレポートしたいと思います。
※音の印象は、システムの音を聴いた後に記述しているので、加藤氏のデザインフィロソフィーを前もって認識していたのではありません。しかし、結果として、デュエットの定位感、生き生きとした音を感じ、充実感を持って試聴を終えた事は、正にデザインフィロソフィーに書かれたとおりでした。
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1)手嶌葵:AOI WORKS Ⅱより瑠璃色の地球
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NOSモード再生。静かな背景の中に等身大の歌手が浮かび上がる。伴奏のオーケストラやピアノトリオとの分離良く、バランス良く、繊細な声が浮かび上がる。自然に近く、心の中に、どんどん入ってくる音。コンサートフォールで聴いているよう。
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2)岩崎宏美&国分弘子:PIANO SONGSより聖母たちのララバイ
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NOSモード再生。背景に静寂さは感じない。岩崎宏美の歌声と伴奏するピアノとのバランスが良く、録音スタジオかフォールの臨場感が伝わってくる。伴奏ピアノの等身大の存在が良く分る。目の前で歌ってくれたら、このとおりではないかと思うリアル感を伝えてくる。同世代を生きた人間として、彼女の透明感があり伸びやかだった歌声が、年と共に高域が出なくなったがうまさでカバーしている様子がありありと分かる。
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3)MANHATTAN JAZZ ORCHESTRA:SING SING SING 2010よりSING SING SING
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低音の締まった迫力が生々しく迫ってくる。各楽器の分離良く、ビッグバンドの各楽器の存在と、演奏会場の雰囲気が表れる。会場の空間的広がりや奥行きが展開される。目の前で聴いているような生々しさがある。打楽器の生々しさも表現される。決してS/N比の高い音では無いが、アナログ的な音で、心がウキウキする音。
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4)VITTORIO CUCULO QUARTET:BETWEENよりYOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO
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伴奏スタジオの空間が表れ、各楽器の分離良く、アルトサックスの音も過不足なく再現される。レンジは広く、音は歪なく、ピアノは等身大の響きが感じられ、ステージを間近で聴いているような生々しさがある。全て音に生き生きとした響きがある。
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5) BEETHOVEN VIOLIN SONATAS 5
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ツインマーマンのバイオリンと、ヘルムヒュエンのピアノ、バイオリンの音に思わず、引き込まれる。ピアノの伴奏もバイオリンに寄り添うような音量で再生される。バイオリンの音と、ピアノの音が重なり合うことは無く、互いの演奏を高めあっているのが再現される。オーディオがどうのこうのと言うのではなく、曲の解釈や演奏技量が優れているかどうかを味わうレベル。高域から、低域の再生のすべてがバランスが取れている。やたらに透明感を高めているのではなく、自然感や、生き生き感を感じる音。旋律や演奏者の技巧のすばらしさに酔える再生。
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6)ムソルグスキー 展覧会の絵 ロト指揮 レ シエクル
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オーケストラの各楽器の分離良く、歪感無く、演奏表現のみ広がる。演奏会場の広がり、奥行き、低域の重厚感、全ての楽器の奏でる音が自然に再生されている。脚色の無い自然な音で、迫力に通じている。演奏会場をつつむ空気感のようなものを再現する。CDに記録された音を全て再現している様。コンサートの末席だったらこんな音は聞けないだろう。
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7) ART BLAKEY AND JAZZ MESSENGERS よりMOANIN :エソテリックのSACD版
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古い録音が蘇る様子で、ドラムもトランペットも自然に聴こえる。アナログと同じ感覚に聞こえる。リーモーガンの音が迫力をもってリアルに響き、ベニーゴルソンの音も生々しく、奥に引っ込んだような鳴り方では無く、生々しく、目の前で演奏している様。ここまで再生できれば、レコードに固執する必要はない。驚愕のレベル。歪感や古くささは、全くない。CDの魅力を再発見した。
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1)MISTY:山本剛 TBM盤
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山本剛の弾くピアノの高域の伸びが自然で、鍵盤のタッチまでわかる。優しい音も、力強い音も、際限なく表現する。神成芳彦録音技師のジャズの録音はこうあらねばならぬと言う音が伝わる。ピアノの低音は、カチツとしていて自然感が漂い、躍動感は十分に再現する。ジャンルに関係なく、音楽をあるがままに再生する、懐の深さがある。
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2)峰純子&HANK JONES:JESSE DMM録音
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峰純子の歌声が、ハンクジョーンズの伴奏とバランス良く再生される。定位明確で、峰純子の立ち位置と、ハンクジョーンズのピアノの位置が再現されて、決してかさならず、主客が十分配慮されている。スタジオ録音をしている様子を生々しく聴いている感じ。レコードにはこんな音も入っているのか、と思うレベルで、微音も力強い音も、過不足なく再現する。自然感が凄い。
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3)カルメン:カラヤン指揮ウィーンフィルよりハバネラ
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オーディオをうんぬんするより、記録された声楽の芸術性の高さに感激する。ソプラノ歌手の肉声が生々しく、ステージの広がり、主役以外の伴奏も、混濁なく再現する。音の分離、再現性は極めて高く、音楽がリアルに聴こえる。
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4)LA FOLIA: HARMONIA MUNDI盤 長岡鉄男外盤A級セレクション選定
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このLPレコードには音の広がりが十二分に記録され、一音一音が明瞭で、再生音に吸い込まれるような陶酔感を感ずる。一つ一つの楽器の表現に深みがあって、存在感がある。重低音も自然の響きと感じられ、再現性の高さを感ずる。打楽器とか、管楽器の差はなく、全て、リアルである。
今宵は、峰純子とハンクジョーンズのデュエットアルバム「ジェシー」を聴きます。このアルバムは、ロブスター企画でパイオニアのスタジオを使い、スタジオ録音、最新鋭の録音機器、ダイレクトカッティングと言った特性を出し、音像の定位感や粒立ちなど、リアルな音像の再現を目指して作成されたものです。カートリッジの針を下すと、生々しい峰純子のボーカルと、ハンクジョーンズの寄り添うようなピアノが3次元的に再現され、なんと程よい距離感なのだろう、と感激する。我が家のシステムでは音が重なり、主客の距離感が出ない。音自体にお化粧は無く、さりげなく音楽性や空間を再現する。SOULNOTEの音は、知的で飾らない、すっぴん美人である、と感ずる。
8月4~5日、静岡市、青葉シンボルロード、アルティエ、札ノ辻クロスにて、静岡ストリートジャズが行われた。昨年は、8月27、28日で、涼風が立ち始める頃だったが、今年は、又、熱気むんむんな時に立ち戻った。年々暑さが応えるので、4時過ぎ、クーラーの効いた室内の札ノ辻クロスに行った。会場は300人程入るのかなと思うが、8割方一杯だった。出演者は、安倍久美子カブトコージハニサクバンドで、ボーカルとテナー、ピアノ、ベース、ドラムのバンドだった。スタンダード中心で、ナイトクラブのムード一杯の演奏だった。次はLEHMAN BROTHERSと言う、転勤族中心の男性バンド、演目はウエインショーターのYES OR NO、ビルエバンスのWE WILL MEET AGAIN等、おなじみの曲をトランペット、ジャズギター、ピアノを中心に、アドリブを展開した。なかなかの実力者たちと見えた。外は、立っているだけで汗が噴き出してくる気温なので、エアコンの効いた部屋で聴くジャズは最高です。 チョット、日が傾いたので、青葉シンボルロードに移動して、小島太郎&HIP BANDで、フルートとピアノのラテンジャズを聴いた。PAを効かした大音量で、ドラムが情熱的にリズムを刻み、たたきつける様にピアノが弾かれ、爽やかにフルートが奏でられる。バートバカラックや松田聖子のメロディーが、あたり一面響き渡る。観客もノリノリで、体を右に左に振っている。札ノ辻クロスでは室内の為、拡声器は使わないが、青葉シンボルロードでは、各楽器の音をマイクで拾って増幅するので、ジャズを体感する。スマホの動画取りが3人もいたし、空気録音している人もいる。振り返ると、立見席まで人が一杯で、皆、音楽の楽しさを感じている。オーディオ需要の減少を心配する人がいるが、人が音楽を聴いて楽しいと思う感覚は変わらない。太古の昔からある本能だもの。いかに、人の心に響かせるかの方法論だと感じました。
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