ESOTERIC K-05XD  試聴レポート

ESOTERIC K-05XD  試聴レポート

試聴レポート~お客様より~2023年7月(3)

ESOTERIC Super Audio CD/CD Player K-05XD

エソテリックK-05は初代モデルが2011年に登場、K-05X(2015年)、K-05XS(2018年)へと進化し、今回が4度目のモデルチェンジである。従来のサイズから大型化され、存在感も増している。雑誌やYouTubeでは「驚くべき進化を遂げたK-05XDは別物」「中低域が充実しアナログ的になり、クロックが進化している」「新しいESOTERICだ」との言葉が躍るので、どんな変化があるのか試聴してみた。

技術的特色

ESOTERICはTEAC時代からCDプレーヤーの技術を牽引してきたメーカーである。CDトランスポートのメカニズムとして、VRDSを開発し、CDをターンテーブルに密着させ、回転精度のアップと、ディスクの回転振動とメカニズムの不要振動を抑えている。2003年には、クロックジェネレーターを発売している。今回、K-05XDに組み込まれたクロックは、2022.11に上市されたGRANDIOS G1Xの技術を応用したもので、クリスタル発信回路に、自社設計の水晶発振子等、厳選したディスクリート部品を組み込んでいる。DACには、集積回路の半導体チップを使わず、自社開発の基盤の上に、トランジスター、コンデンサー等で回路を組んでいる。その基盤は、医療用、防衛産業用の基盤を製作しているTEACの関連会社で製作している。ディスクリートで回路を組むのは、海外ではDCS、CHORD、国内では、MARANTZのみである。以上の様な技術を核に、音作りを行っている。ESOTERICは他社に先駆けて新技術を開発する意欲に満ち、新製品を上市する都度、進歩の歴史が見られる。以下は、個々の特色である。

●CDをターンテーブルに固定する機構をVRDSからVRDS-ATLAS「ATLAS05」に変更。駆動用モーターをトランスポート上部から下部に移動。ターンテーブル素材をアルミニウム+ポリカーボネートのハイブリットに構造に変更。シャーシーを2層とし、上層にオーディオ基盤、下層に電源回路やトランス類を配置している。トップパネルがネジで締め付けないセミフローティング構造。
●DACはディスクリートで回路化し、集積回路では無い。音楽の躍動感、エネルギー感を再現する。64bit/512fs対応のΔΣモジューレーターを搭載。出力バッファーアンプは、応答速度2.000V/μsの素子を採用。
●マスタークロックはGRANDIOSO G1Xで開発され、音楽表現に優れたクリスタル発振回路を、「MASUTER SOUND DISCRETE CLOCK FOR DIJITAL PLAYER」としてK-05XDに組み込む。大型の水晶発振子等、厳選したディスクリート部品の採用。
●電源回路は2個のトロイダルトランスをデジタルとアナログの電源に使用し、独立させる。さらに、コントロール部専用のEIコア電源トランスを搭載。
●電源レギュレーターは、主要部に集積回路を使わないディスクリート構成で、フィールドバック量を最小限とする。
●デジタルフィルターをOFF、FIR、RDOTモードで使い分ける。
●ES-LINK ANALOGを装備。対応機種同士を接続すると、従来の電圧伝送から電流伝送が可能になる。電圧伝送の約100倍の電流が流せる。

リファレンス機材

●プリアンプ:Accuphase/C-2900
●パワーアンプ:Accuphase/A-75
●スピーカー:YAMAHA/NS-5000

音の印象

従来、エソテリックのCDプレーヤーは、表現は精緻だが、日本画の水墨画の様に淡白な表現が奥一面に広がる印象を受けた。S/N比が高く、静かな演奏空間がスピーカーを越えて現れるのも特異な存在であった。しかし、今回のK-05XDの音は、従前の印象をガラリと変える。音色は無色だが、生命感に満ち、明瞭で、優しくもあり、力強くも有り、多彩な表現で迫って来る。音の密度が高く、前に前に出てくる様である。音場も広くゆとり感に満ちている。音に脚色が無く、あらゆるジャンルの音楽を自然な形で、又、CDに記録されたままで再現しているよう。ただ、音は太さを感じ、K-01XDで感じた精緻な表現は影をひそめる。繊細な響きや余韻に満ちたクラシック系ソースは、K-01XDの表現力が魅力的だ。ジャズやロック系のエネルギーを感じさせるソースが相応しいのではと思う。

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個人的な印象として
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まず出てきた音を聴くと、「これはアナログ再生の音では無いか!」と思うほどアナログ再生の音に凄く近い。従来アナログとデジタルの音は、録音方法に違いがあり、同じ音にはならないと言われてきた。アナログ録音の音は明瞭さと厚みを持ち、躍動感やエネルギー感がストレスなく展開する。アナログをデジタル化した音は、どこか生命感が不足して、CDを諦め、LPレコードに回帰してきた。同時期に発売されたN-05XDのDACでK-05XDの音を再生すると、従来のCDプレーヤーの音になる。K-05XDのDAC部分に、今までとは違った技術革新があるに違いない。アートペッパーの「ミーツ ザ リズムセクション」を取り出し、まず、初期発売のCDを聴いてみた、音に芯があり生命感はあるが音の広がりが無い。そして、YAMAHA 5000GTとDENON 103Rでレコードを聴いてみた。やはり、レコードの音にはふくよかさと、アルトサックスの質感、空間的広がりがあり、聴いていて心地よい。K-05XDの音はカチッとしていて、アナログ録音とは違っている。しかし、デジタル録音のジャズを再生した場合は、楽器の質感、演奏空間まで再現するから、やはり録音方法の違いと結論づけられるのか。次回はアナログ録音を最新技術でCD化した物を聴いてみます。

ESOTERIC K-05XD 試聴レポート

ジャンル別試聴

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1)JPOP:女性ボーカルと伴奏のチェロの弓引き
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声は歪感無く、女性の音像がまん中に浮かび上がる。口も小さく、表情が非常に明瞭。伴奏のハープの音も良く聴こえる。チェロの音も定位よく、底深く響く。声や楽器の分離良い。どこに不満があるのかと思うレベル。

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2)JAZZ VOCAL:女性ボーカルと、伴奏のジャズトリオ
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落ち着きと躍動感のバランス、音像の明瞭さ、余韻の表現、全てのバランスがとれている。音場が広く楽器の分離良く、全てにゆとり感があり、自然な空間を作る。嘗て、エソテリックのCDプレーヤーは、表現は精緻だが、奥に平面的に展開する音作りだったと記憶していたが、今回は音が前に出てきて、S/N比も高く、声、楽器が明瞭で、情報量が多い。

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3)JAZZ:ビッグバンドを背景にしたアルトサックスのソロ
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アルトサックスの定位良好で、明瞭な楽器の演奏がビッグバンドの作る空間に浮かび上がる。自然な躍動感を感ずる。ピアノもジャズらしく躍動感をもって演奏される。入力信号を正確に表現している感じ。音楽のジャンルに得手不得手ない。

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4)CLASSIC PIANO:ピアノソロ、グラモフォンの録音
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ピアノの艶やかさ、華やかさが、自然な落ち着きの中に優美に広がる。表現される音像に、明瞭感がある。表現に深みがあり、スケールの大きさも、迫力も自然な体で表現される。低域は、他社の機種と比べると、キリツと締まっている。

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5) CLASSIC VIOLIN:オーケストラとバイオリンの協奏曲、グラモフォンの録音
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落ち着いた雰囲気で、オーケストラが広く展開する。バイオリンがしっとりと落ち着いて浮かび上がる。バイオリストの技巧、情熱も、余すところなく表現している。低域は、他社に比べると引き締まるように感じ、全体的にS/N比が高い為か、と感じる。 

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TODAY’SONG

今年6月に発売された、ESOTERICアナログレコードより、「ドボルザーク 交響曲第9番新世界より」を聴きます。演奏会場がスピーカーを越えて広がるスケール感と、全てに渡り繊細で明瞭な再現に驚きます。聴きなじんだ第二楽章の家路が哀愁感を持って広がります。

ドボルザーク 交響曲第9番新世界より レコードジャケット ドボルザーク 交響曲第9番新世界より レコード再生

今週の生花:ローズリリー ピンクッション ハナハマサシ

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