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D&M(株式会社ディーアンドエムホールディングス)は傘下にmarantzとDENONを持つ。同じ会社でありながら競合状態にあるのは厳しい限りだな、と思いながら、今回はマランツ「MODEL 30」と「SACD 30n」を聴いてみる。どんな技術をCDプレーヤーやアンプに盛り込んでいるのか、またそれぞれが目指す音作りはどんなものなのか、スピーカーを変えながら音の評価と、組み合わせの発展性を探ってみる。マランツは、近年発売されるプリメインアンプに、HYPEX社のNC500と言うデジタルアンプモジュールを使用している。従来、高周波ノイズに課題があるとされてきたデジタルアンプであるが、マランツの技術でどのように完成度を高めてきたか試聴してみた。また、デノン製品では以前(2022年2月試聴レポート)CDプレーヤー「DCD-2500NE」とプリメインアンプ「PMA-2500NE」を書いていますので、そちらもよろしかったら読んでみてください。
※2022年2月試聴レポート:オーディオビギナーが機材を選ぶ際、迷う時の解決に結びつくヒント
・パワーアンプ部にHYPEX社のNC500を使用し、小型化を図り、プリアンプ部のスペースを広げる。
・プリは電流帰還形アンプ(HDAM-SA3)にJFET入力とDCサーボ回路を組み合わせた。(私には何のことか良く分りませんでした)
・プリアンプ部専用電源。
・ボリュームは左右間のクロストークと音量差が生じない。
・パワーアンプ部からスピーカー端子まで10mmとし、ダンピングファクターを向上。
・出力 200w/4Ω
・ MM、MCカートリッジ用トランス並びにフォノイコライザーアンプ搭載。
・marantz独自の変換回路 MMM STREAM(PCM信号を1bitDSDデータに変換)から、MMM CONVERSION(DSD信号を、アナログFIR(フィルターによりD/A変換を行う)に出力。
・クロック 超低位相雑音クリスタルを採用。44.1khz,48khzのクロックを切り分ける。クロック回路にジッタークリーナーを組み込む。
・ネットワークオーディオに対応。
・Bluetooth対応。
落ち着きのあるハイセンスなデザイン。CDプレーヤーの表示パネルが日本語表示なのが面白い。
明瞭な音像が力強く広がり、解像力は高く反応が早い。デジタルアンプの共通した特性を感ずるが、マランツはそこに洗練された品位と落ち着き、大人の雰囲気を付与している。スケール感、柔らかさ、艶やかさを求めるなら他に選択肢を考える必要性があるように思う。とは言うものの様々なスピーカーと組み合わせると、そのスピーカー独自の音色を活かしながら、格調の高さと芯のある音像が組み立てられ、使い方次第では満足出来る製品だと思う。今回、NS-5000と同時に試聴した、Fyne Audio(ファイン・オーディオ) F-502では柔らかさと格調の高さを、また、B&W新製品703S3では同じく格調の高さと、さらに艶やかな明瞭さを感じた。 F-502と703S3の試聴に関しては、次回10月(2)(3)のレポートで書きます。
■リファレンス機材■
・プリメインアンプ:marantz/MODEL 30
・CDプレーヤー:marantz/SACD 30n
・スピーカー:YAMAHA:NS-5000
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1)JPOP:女性ボーカルと伴奏のチェロの弓引き
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明るく鮮明で、解像度高く明瞭な音。スケール感は普通だが、奥深い表現をする。チェロの音も深みがあり、声とバランスが良好。D級アンプの駆動力は、相当高く思える。しかし、艶やかさに、チョット欠けるが、音と音場とのバランス良好。
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2)JAZZ VOCAL:女性ボーカルと、伴奏のジャズトリオ
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声が明瞭。録音の優秀なCDは良く表現。低音のしまりは良好で、ベースの弾むような音が出る。音像の分離と定位が良好。レンジ、音の広がりはそこそこだが、躍動感が自然に出てくる。CDに記録されている曲や、声の芯のようなものを表現しているよう。
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3)JAZZ:ビッグバンドを背景にしたアルトサックスのソロ
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アルトサックスの質感良好。低域の締まりはあるが量感は少ない。生々しい表現の一歩手前。しかしこれ以上のものを求めるなら、200万円以上かかりそう。NS5000がそこそこに鳴っている。楽しめる再生音。生々しさより、若干、上品におとなしめに振っているように感ずる。しかし、音像の解像度は非常に高い。ピアノのリアルな躍動感を感ずる。バランスの良い音。
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4)CLASSIC PIANO:ピアノソロ、グラモフォンの録音
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ピアノの音色の再現性が良い。音像が明快で左右の手の動きが分かるよう。高度な再生をする機種は多々あるが、それなりの完成度で纏まっていて、特に不満無くバランス良好。CDに記録された信号を正確に出力しているよう。艶やスケール感を求めるなら他の選択がある。
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5) CLASSIC VIOLIN:オーケストラとバイオリンの協奏曲、グラモフォンの録音
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オーケストラの存在感はそこそこに感じる。しかし地を這うような重低音は出ない。バイオリンの憂いに満ちた旋律が優美に響く。小さく纏まっているが、特に過不足は無い。刺激的な音は出ない。品位が高く落ち着きのある音。バイオリンの音が自然で、没頭して聞き入れるレベル。
今宵は、テナー奏者JOHNNY GRIFFIN(ジョニー・グリフィン)の RETURN OF THE GRIFFIN (リターン・オブ・ザ・グリフィン)を聴きます。身長170cmと小柄ながら、豪快で凄い速さでテナーサックスを吹きます。どんな音量やプレイでも味が感じられて、marantzのデジタルアンプに相応しい!と感じました。
NHK(BS放送)で放映された内容ですが「音楽の力」について少し書きます。
「セントルイス・ブルース」
ブルースの父、W・C・ハンディ(ウィリアム・クリストファー・ハンディ)が1914年に作詞作曲し、一世紀に渡り歌い継がれたブルースである。「夕陽を見るのは嫌だ、明日が今日と同じだったら出ていこう」「あいつの心は、海に投げ込まれた石のように冷たくなった」と言うもの。曲は3部構成になっており、第1のマイナー調のメロディーから第2のタンゴ調に変調していくのが素晴らしい。
この歌は戦争の中、民衆の強い思いにより世界中に広まった。戦争が世界中に広げたと言える。グレンミラーはマーチに編曲した。ナチスはジャズを聴くことを禁じたが、ナチスの宣伝用に作ったラジオでアメリカの放送が聞け、民衆のこの曲への渇望を押さえられず、曲名を「青いルートビッヒ」と変え、聴くことを許した。またユダヤ人収容所で演奏するのを許した。ポーランドでは、スターリンの前で演奏され、軍隊の慰問として演奏された。第二次大戦後は禁止されたが、人々の音楽への欲望は止められず、地下でレントゲン写真フィルムをレコードにし、200万枚も流通した。日本では、川田義雄が、浪曲としてレコード化している。このレコードが戦後、硫黄島の洞窟の中で発見されたのである。敵も味方もなく聞かれた音楽であった。戦時中の自由を奪われた暮らしや、死と隣り合わせの中で、この曲は人々の心の中に明るい気持ちと、生きていたいと思う気持ちを呼び起こす力があるに違いない、と思う。黒人が、「自分を慰めるのは歌うことだけ」との思いが、大戦下の人々の心に浸透していった。
日頃、私が常に思っている、音楽の底知れない力をあらためて感じた番組でした。
グロリオサ・スペルバ/鶏頭/キバナスズメラン他
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