Accuphase E-800S 試聴レポート

Accuphase E-800S 試聴レポート

試聴レポート~お客様より~2024年11月(3)

Accuphase E-800S

Accuphaseの新製品は、ANCC回路の導入で展開される。ANCC回路とは、スピーカー端子直前でノイズ、歪成分を検出し、副アンプに帰還し、打ち消し成分を出力して、歪とノイズを低減する機構である。DP-1000、DC-1000やC-3900等で有効性を確信し、以降開発される機種に応用している。空間表現の静かさや、繊細感、歪感のなさを深め、新しい世界を生み出し、Accuphaseの製品群のイメージアップに結び付けている。 この度、E-800の後継機種としてE-800Sを上市し、ANCC回路が組み込まれたので試聴してみた。

技術的特徴

●BALANCED AAVAボリューム回路
●ANCC回路 出力端子直前から、音の歪、ノイズを検知し、それを入力部に戻し、副アンプを使用して、歪、ノイズの打ち消し成分を出力する。歪とノイズを大幅に低減。
*アキュフェーズの特許
●アルミニウムブロック削り出しボリューム
●パワーアンプ部は、+側とー側の入力インピーダンスを等しくし、外来ノイズの除去能力に優れるインスツルメンテーション・アンプを採用。
●MOSFET 6パラレル、プッシュプルA級動作 出力50W/8Ω
●大型トロイダルトランスと63.000μFコンデンサーを2個搭載
●1ダンピングファクター 1.000を達成

リファレンス機器

●SACDプレーヤー:ESOTERIC/K-05XD
●スピーカー:YAMAHA/NS-5000

Accuphase E-800S 試聴

音の印象

【E-800S】
音色はA級特有の明るく艶やかなものであるが、音像はあたかも切り絵の如く明瞭で、やや硬質な感じを受ける。繊細さの表現は深いが、曖昧な所がなく、切れ味鋭い低音が躍動感を持って再現される。S/N比が高く、演奏空間の空気感まで描き切る。哀愁感やノスタルジーを表現する歌には元気が良すぎる印象を受ける。躍動感で迫るジャズボーカルには生々しさを感ずる。ビッグバンドジャズでは、ステージに広がる個々の楽器が明瞭に浮かび上がり、緊迫感を持った演奏を再現する。バイオリンやピアノのデュエットは音の綺麗さを感ずるが、バイオリンの響きがチョット硬質な印象を受ける。オーケストラはステージが眼前に浮かび、楽器の存在が生々しく、不気味さや荘厳さを感じて圧巻である。 

【E-800※参考】
E-700の試聴時、同時試聴したE-800は溌剌とした優美な音で、きりりとした音像と、音の艶やかさ、繊細さ、瑞々しい生命感、程よい音の厚みを持ち、従来のアキュフェーズトーンの延長線上にある音であった。A級プリメインアンプの特色を生かし切った音と印象を受けた。

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ジャンル別試聴【E-800S】

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1)手嶌葵 Aoi Worksより さよならの夏
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カラッとした明るく華やかな元気な声。声の描写は明瞭で、繊細な音の再現性が高く、それを元気な表現で包んでいる。程々の哀愁感で、ノスタルジックな陰鬱さは感じない。演奏空間の広がり、雰囲気は素晴らしく、リスナーが会場にいるような雰囲気を醸し出す。元気な声で、それはそれで素晴らしい表現だが、落ち着きは少ない。

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2)Sinne Eeg Face The Musicより月光のいたずら
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硬質でバンバンせり出してくるような音。声の表情を余すところなく描き切り、シーネイの持つ、色気、野性、歌唱テクニック等の多彩な表現が再現される。音像の分離、定位が良好で、伴奏楽器の存在が生々しく浮き上がる。曖昧な所の無い音で、エネルギー感と、引き締まった低音を感じる。ベースの音もシンバルの音も、実存感を持って明瞭に響く。

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3)Manhattan Jazz Orchestra SING SING SINGよりSING SING SING
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引き締まった低音に迫力があり、一音一音が非常に明瞭で、描写力が高い。各楽器の定位良く、演奏空間に展開して、ビッグバンドの迫力を押し出してくる。楽器の質感も硬質だが存在感が高い。繊細な描写力と、エネルギー感に支えられている。S/N比が非常に高く、演奏空間を感じ、空間の中にリアルに楽器群が存在する。生々しさが演出されて、聴いて楽しいジャズ。最新録音のジャズには相性が良い。

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4)Beethoven:The Violin Sonatas Sonatas5
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華やかで、優美な音で、相当、細やかな音が再現されている。演奏会場の奥深さ、立体感も感じられる。硬い音で、バイオリンの弦を擦る弓の音がチョット硬質に響く。しかし、音楽そのものは優美に優雅に華やかに、上品な雰囲気で伝えてくる。

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5)Mussorgsky 展覧会の絵 よりプロムナード、こびと
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スピーカー間に、オーケストラ会場が展開し、空気感まで再現していると思われる。各楽器は全て滲みなく、交じり合うことなくリアルに再現される。全帯域のバランスが良い。曲の森厳さや不気味さを感じる事が出来る。楽器の構成の多い音楽程、良さを発揮するのではないか。 

ジャンル別試聴【E-800※参考】

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1)手嶌葵 Aoi Worksより さよならの夏
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ライブ会場の雰囲気や声の落ち着き、表情は深く明瞭で存在感がある。高音の伸び、低音の深さは、音楽のゆとりや深さになって表れてくる。自然な感じが深まって来る。歌詞は非常に明瞭である。高域から低域までのバランスが良い。

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2)Sinne Eeg Face The Musicより月光のいたずら
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声は生々しく、定位は明瞭で、空間に声が浮かび上がる。S/N比の高さが明瞭である。音は明るく、明瞭な音作りで、生き生きとした躍動感が良い。音の厚みもあり、実存感に通じている。発音は全て明瞭。ピアノの艶やかさや低音の厚みも生々しく、質感が良好。

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3)Manhattan Jazz Orchestra SING SING SINGよりSING SING SING
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各楽器の分離良く、音の立ち上がり、立下りの反応良く、低音が生々しく響き、ジャズバンドの楽しさを過不足なく伝えてくる。打楽器は鋭く、木管楽器は柔らかく再現する。楽器の音が分離良く交じり合わず、ベールがはがれたような雰囲気。

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4)Beethoven:The Violin Sonatas Sonatas5
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バイオリンが鮮明で、ピアノの一音一音の厚みも存在感がある。演奏が目の前で弾いているようで、臨場感がある。レンジ広く、高域から低域まで曖昧になるところが無い。音の強弱と音の厚みと躍動感を兼ね備えた音。

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5)Mussorgsky 展覧会の絵 よりプロムナード、こびと
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音に滲みなく、厚みがあり、明瞭に音像を描き出す。明るさ、艶やかさがあり、音に重みがあるため安っぽくならない。クラシックの品位の高さを十二分に表現する。オーケストラの会場の臨場感を感ずる。

TODAY’SONG

今宵は、デュークエリントンのハイ ファイ エリントン アップタウンを聴きます。これが録音された時期は、デュークエリントン楽団からジョニーホッジス、ローレンスブラウン、ソニークリアが抜け、ファンディゾール、ウィリースミス、ルイベンソンが新たに入団し、またレコードがSPからLPに移行する時で、エリントンが意欲的に取り組んだアルバムです。A-1のスキン ディープで見せる ルイベンソンのドラムソロは猛烈なドライブ感があり圧巻です。

デュークエリントン レコードジャケット デュークエリントン レコード盤

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