2020年9月レポート

9月号は、前回に引き続き、人気漫画『BLUE GIANT4-6巻』の感想と漫画に登場する曲の紹介等をレポートしていただきました。また、ジャズがとても好きなお客様曰く、漫画に登場する曲はジャズをあまり聴いたことがない人が聴くと耳が疲れてただただうるさい音楽だと感じてしまうのでは?ということで、今回はジャズ初心者にも聴きやすい曲を紹介していただきました。漫画に登場する曲のアルバムはお客様ご自身の私物を毎回撮影させていただいております。漫画に出てくる曲をほとんどお持ちなので毎回びっくりしています。では前回の続きをお楽しみください。

BLUE GIANT4-5巻

『BLUE GIANT 4~6巻』  ~お客様より~2020年9月

BLUE GIANT 4~6を読んで

4巻からは、東京が舞台になる。
仙台では、ジャズに関わる人は少数だったが、東京では、異なる才能を持った演奏者達との交流が始まる。
ピアニストの沢辺は、相当な実力の持ち主だが、クールで、排他的な理論派。大は、音楽の楽しさや、やる気を大切にする。二人は、お互いの才能に気づき、演奏を通じて目指すものを確認し合う。技術や経験を超える何かに導かれる様な、超自然的な感覚を味わいたいと感ずる。沢辺は、そのためには大が必要と感ずる。沢辺の思う、技術や経験を超えた物を求める事は、幾多のジャズメンに見られることだ。ジャズ演奏者たちは、共演者との演奏を通じ、音楽の質を高めていく。
例えば、ピアニストのビルエバンスは、ベーシストのスコットラファロとのプレイでスリリングな演奏を残している。クリフォードブラウンはマックスローチ。ジョンコルトレーンはマッコイターナー、エルビン ジョーンズ。マイルスデイビスはハービーハンコック、ウエインショーター、トニーウィリアムス等、幾多の名演は、共演者とのコラボレーションから生まれている。
技術や経験を超える物とは、我々の会話に例えるなら、やり取りの中から新しい発見を見出す様に、共演を通じ演奏を芸術の域まで高めていくものなのかもしれない。
又、大や沢辺が演奏しているのは、50~60年代に演奏されたハードバップが中心で、激しく情熱的で、物語に登場するアルバムばかり聴くと、ジャズってうるさいだけで何が良いのか分からないと思う方もおられると思う。
しかし、ジャズには様々なスタイルがある。何かが始まる予感がし、さあやるぞと意欲がわくもの、スタンダードソングをジャズ化し分かり易い物、バラードを中心に癒しを感ずるもの、新しいスタイルを模索するもの、又、黒人の演奏するジャズと白人の演奏するジャズも違いがある。スイングジャズもある。
この物語を見てジャズを聴いてみようと思う方は、ピアノの演奏から入られて、自分の求める感覚に近いものを選べば良いと思いう。ピアノの音は身近にあり、聴き馴染んでいるからである。
ピアノ演奏で、まずお勧めするのは、ビルエバンス:ワルツフォーデビィ、バドパウエル:シーンチェンジス、レッドガーランド:グルーヴィ、トミーフラナガン:オーバーシーズ、ウィントンケリー:ケニーブルーの5枚である。
BLUE GIANT4-5巻 これらは、明確なメロディーを持ち、メロディーの変調も奥深く、いつまでも聴き飽きないものである。ジョンコルトレーンやソニーロリンズやソニースティットを追いかけるのはその後でも良いと思います。 

BLUE GIANT 4

かつて大の演奏をうるさいと評したお客を招いて、演奏が始まった。メロディーが無意識に出ていくのを感じながら、コードチェンジにも対応しながら演奏する。しかし、ピアノ、ベース、ドラムの演奏とはつながれないと思った時、師匠からみんなの音を聞けと指示がでる。皆とつながった大は、大のペースで演奏をリードする。客は「ギャフン」と言って帰って行った。師匠の評価は、まだまだだが今日は最高だと褒めた。
東京に出て、ジャズプレーヤーになる意思を持つ大には、女性として気にかかる三輪さんの存在と、インフルエンザにかかり熱を出す妹の存在が気にかかるのだった。東京に行くと、家族会議で言い、父、兄、妹の前でサックスを吹き、妹は大が仙台には戻らないと感ずるのだった。
大は卒業式の翌日、東京に行くと決めた。最後のレッスンの日、師匠の由井は居酒屋で飲みながら、由井は一所懸命練習したが花が咲かなかった、大は、まだ全てにダメだが、最初から咲いているのだと言う。ジャズを好きでいてくれよと言う。卒業記念の飲み会で、受験に失敗し酔っぱらった友人を介抱しながら、今は、お互い何でもないけど、負けないぞと思うのだった。
舞台は東京に移り、大は親友の玉田のアパートに居候しながら、自分のアパートを探しに下町を歩く。永代橋(えいたいばし)で佇んでいると、三輪さんにキスをしようとして断られたこと、卒業式に黒木先生に色紙を頼まれた事を思い出す。そして、車の騒音が響く永代橋の下を練習場と決めるのだった。
東京の生活は、お金が無くては成り立たない、飲食店でバイトを探す。川辺で練習をしている時、音を聞きつけた屋形船のお客から演奏を頼まれ、初めてギャラを貰う。バイトで、寿司屋に勤める、その後、工事現場で働く。永く使い込んだサックスはボロボロで、7万の修理代が必要だった。
雨でバイトが無い日、ジャズバーに入り、そこでかけてもらったソニースティッドのレコードが今日の天気みたいな曲と言い、店主は、天気に合わせレコードを選んだのを感じ取った大に、ライブセッションをやっている店を教える。その店で、ピアニストの演奏に感じ入るのだった。

[今回登場するジャズアルバム]
―チェロキー スタディ イン ブラウンー
クリフォードブラウンのトランペット演奏で有名。テナーサックスでは、ジョニーグリフィンのアルバム WAY OUTに入っている。YOU TUBE 参考されたし。 チェロキー スタディ イン ブラウン ―ジョンコルトレーン タイムワズー
PRESTIGE版COLTRANE 中の一曲、このアルバムでは、(コートにスミレを)のバラード演奏が有名
ジョンコルトレーン タイムワズ ―ハービーハンコック 処女航海―
ハービーハンコックがブルーノートに残した一枚。大海に漕ぎ出す、不安と意欲が感じられる。
ハービーハンコック 処女航海 ―ソニースティッド LOW FLAME―
チョット珍しいアルバムで、手持ちがなく、雨の雰囲気に相応しい物か分からない。アルバム中のファイン アンド ダンディと言う曲が、ステッド パウエル & J.J,にも入っていて、ブルージーな感じはする。YOU TUBE参考にされたし。  ステッド パウエル & J.J,

BLUE GIANT 5

ピアニストは、左手のみで重く鋭い低音を演奏し、トランペットは引きずられていた。
ライブ終了後、ピアニストは沢辺雪祈で、大と同じ年の18才だとわかった。大きなテナー蛸を作った大を見た沢辺は、ジャズの演奏とはと尋ね、大は自分しか出せない音を出すと言う。沢辺から組まないかと言われる。
沢辺と行ったジャズクラブで、外人の演奏に合わせて熱心に仮想のキーをたたく姿を見て、組もうと決心する。大は沢辺の前で、サックスを吹き、感動させ、ジャズバーのママも凄いと言う。二人は、ママから店を練習に使ってよいと言われ、ピアノとサックスの演奏を始める。そこで大は、演奏をコード枠内で行うよう言われる。沢辺は、小さい頃から母親がピアノ教室をやっていて、一人の生徒が上手に演奏するのに感激し、音楽とは楽しい事と思った。
二人は、同年代のドラマーを探す。才能あるドラマーとは、共演者を自在に乗せる演奏をする人だと言う。
大学のサークルに未消化を感じる玉田は、大の練習に付き合う内、音楽に興味を持つ。沢辺に紹介された玉田は、シンバル一本を単調にたたき、沢辺にドラマーの難しさを言われるが、大は音楽をやりたいとの気持ちを大事にしたいと言う。
玉田は自分の部屋で毛布をかぶって練習を始める。そして、サイレントドラムを買い練習する。練習に苦悩する玉田は、音楽教室に通い、ゆっくりのテンポで演奏する事を学ぶ。
沢辺は、練習場にサークルの友人、上野を連れてくる。上野は沢辺と大の演奏に合わせる限界を感じ去る。玉田は、大の提案で8ビートのリズムでドラムを叩く、ズレを重ねるが合っている。沢辺は、大が玉田の叩くドラムの枠内で演奏しているのを発見する。沢辺は、玉田にダメ出しするが、大はそれがジャズの間口を狭くしているのでは、上手くても下手でも感動できればいいと言う。沢辺は、玉田に練習に来ていいと言う。沢辺は、音楽教師の母親に、8、16ビートの次は何を教えるのかと電話する。

[今回登場するJAZZアルバム]
―アートブレーキー モザイクー
3菅(トランペット、テナー、トロンボーン)をフロントに置いた傑作。エネルギーに溢れ、野性的なドラムを聴かせる。
アートブレーキー モザイク ―エルビン ジョーンズ HEVEY SOUND―
重いドラムサウンドにフランクフォスターの滲みのあるテナーが絡むアルバム。 マッコイ ターナー フライ ウイズ ザ ウインドウ ストリングを背景にマッコイの単調な音が情景を描いて行く。 エルビン ジョーンズ HEVEY SOUND マッコイ ターナー フライ ウイズ ザ ウインドウ ストリング

BLUE GIANT 6

沢辺は、プロのギタリスト川喜田からテスト依頼を受ける。一緒に演奏したステージは成功し、バンド参加をオファーされる。沢辺は、ジャズを始めた理由は、技術や経験を超える何かに導かれる様な演奏をしたい為で、今日のステージは、感覚が違っていた。自分が求める物は、大との共演だと思い、川喜田から貰った金で、大と玉田に焼き肉をご馳走する。
作曲に励む沢辺はなかなか納得がいくものが出来ない。楽器店で、演奏を諦めてトランペットを売りに来る客や、初めてトランペットを買いに来る客を見て、FIRST NOTEとの作曲をする。
FIRST NOTEに基づいて演奏するが、大は、玉田の上達ぶりに驚く。ただ、玉田に合わせる演奏は、沢辺から弱い音だと言われる。
体を鍛えるために、ランニングや水泳を行い、息を長くできる様鍛える、飛び入りで参加したジャズクラブで長く段々強くなる音を出し、オーナーから怒られる。
大は、客の前で、3人で演奏したくて、チラシを配る。アキコママが頼んでくれたジャズハウスで、バンド名をJASSとして演奏を始める。ソニーロリンズのニュークスフェダウェイ、次に沢辺のFIRST NOTEを演奏する。途中から入って来た望月は、ジャズってこんな音楽なの、凄い物を見ているのではないかと観客ともども感激する。ただ、玉田は自分のドラムの技量に自信を喪失する。沢辺は、玉田にミスったのは3曲目までに125回と言い、思っていたより悪くなかったと言う。しかし、翌日の練習では手が動かない。玉田は練習場を出て行き、沢辺は玉田に酷な事をしたと思うが、大は玉田の笑顔とガンバリを信じると言う。玉田は、やらされているのではない、自分がやっているのだと闘志を燃やす。
川喜田は3人がやっているライブハウスに行く。大と玉田が喧嘩しながら演奏しているのを見て、川喜田はギターで参戦する。

[今回登場するJAZZアルバム]
―ソニーロリンズ SONNY ROLLINS WITH MJQ ニュークスフェダウェイ 初期の比較的穏やかな演奏が聴ける。 ソニーロリンズ SONNY ROLLINS WITH MJQ ニュークスフェダウェイ

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