カートリッジ4種聴き比べ 試聴レポート

カートリッジ4種聴き比べ 試聴レポート

カートリッジ聴き比べ
試聴レポート~お客様より~2021年5月(2)

レコードの売上が好調!

この所、LPレコードの売り上げが好調だ。 英国では、2020年度の売上は、レコードが132億円(前年比30%増)、CDが176億円(前年比18.5%減) 米国では、レコードが689億円(29%増)、CDが531億円(23%減)になった。日本も、同じような傾向だろう。中古レコード店でも、昨秋あたりから、若い層が増えてきた。また、LPレコードへの回帰だろうか。
今回は、近年発売された「MCカートリッジ」「光カートリッジ」を比較試聴してみた。取り上げるカートリッジは、●定番のDENO/ DL-103R ●オランダ製 VAN DEN HUL/THE MC-10 SPECIAL  ●光悦/Onyx Platinum  ●DS Audioの光カートリッジ/DS E-1を聴きます。
リファレンス機材は、レコードプレーヤー/YAMAHA GT-5000、プリアンプ/Accuphase C-2850、パワーアンプ/Accuphase A-75、スピーカー/YAMAHA NS-5000です。
カートリッジ聴き比べ試聴機 YAMAHA GT-5000

試聴カートリッジの紹介

【DENON DL-103R】
初期モデルDL-103は1963年NHKと共同開発され、1970年に一般用に発売、50年の販売実績を持つ。トレース能力が高く、扱いやすい。カートリッジ前面に垂直線が惹かれ、レコード面への設置角度が判断しやすいです。
DENON DL-103
【VAN DEN HUL THE MC-10 SPECIAL】
2019年に開発された、オランダ製カートリッジ。エソテリックが販売している。カンチレバーが長く、感度の良さに通じるのではと思う。
VAN DEN HUL THE MC-10 SPECIAL
【光悦 Onyx Platinum】
開発されてから、30年以上たつカートリッジ。武蔵野音響研究所というガレージメーカーの製品。 形状は一般的だが、桐の箱に入り、高級感に溢れている。現在でも生産されている様です。
光悦
【DS Aidio DS-E1】
LEDの発光部と受光部の間に、カンチレバーに取り付けられた遮光版を置き、その振動の変化を、音楽信号として変換する。専用のイコライザーが必要。 
DS Aidio DS-E1

音の印象

■DENON DL-103R
音は、透明感にあふれた、純粋な水の様。 必要にして十分な解像力と、声、楽器の質感を再現し、それを、高域から低域まで、ピラミッドバランスで再現する。日本のスタンダード。
■VAN DEN HUL THE MC-10
音は、ブルゴーニュのピノノワールワインに似て、程よいコクとすっきりした重量感を持っている。 声は、落ち着きが加わり、重みのあるバックミュージックの中に浮かび上がる。音は、若干、太く、楽器は色彩感を持って、生き生きと浮かび上がる。 最新のデジタル録音も明確に再現し、オーケストラの存在感も生々しい。
■光悦 Onyx Platinum
音は、最高級のワイン(ロマネ コンティやディケム)の様に、官能的な彩に満ちている。飲んだことないけど。 声は、ハスキーさが加わり、怪しい魅力にあふれる。音は太く、分離感は、それほど高くないが、 コッテリとした雰囲気が、ピアノの重厚感や、オーケストラの存在感を演出する。 アナログ録音が存在感を持って再現され、アナログ録音時代に生まれたカートリッジの様に感ずる。
■DS Audio DS-E1
とにかく、鮮明な表現。レコードに記録されたデーターを全部ピックアップしてくる様。 一音一音が明瞭で分解性高く、エネルギー感が強い。しかし、不自然な感じは受けない。 しっとり感や落ち着き感とは違っているが、生々しさや迫力を求めるなら、群を抜いている。 ジャズやロックの様に、音を体で浴びたい音楽には大いに適性がある。グレングールドの唸り声が初めて明瞭に聴けた。

適応ジャンル

DL-103R、 VAN DEN HULはオールマイティ。光悦は、クラシック、DS E-1はジャズ、ロック系と思われるが、組み合わせる機器により、適性は変わる。

リファレンス機材

プレーヤー YAMAHA GT-5000
プリアンプ Accuphase C-2850
パワーアンプ Accuphase A-75
スピーカー YAMAHA NS-5000
カートリッジ聴き比べ リファレンス機材

試聴ソース

1.荒井由実 ミスリムから海を見ていた午後 ノイズリダクション等何も使ってない録音。
荒井由実 ミスリムから海を見ていた午後 2.TALES OF ANOTHER 1977年録音、リーダーは、ゲイリー ピーコックだが、ピアノがキースジャレット、ドラムが ジャック ディジョネットで、のちのスタンダーズトリオ。ベースの録音が生々しい。
TALES OF ANOTHER ゲイリーピーコック 3.バッハ:ゴールドベルグ変奏曲 グレングールド 1981年、デジタル録音 当時のSONYの技術の総集成。
バッハ:ゴールドベルグ変奏曲 グレングールド 4. ストラヴィンッスキー 春の祭典 ピエールブレーズ 1969年録音 一つ一つの楽器が、明確に録音されている。
ストラヴィンッスキー 春の祭典 ピエールブレーズ

DENON DL-103R ジャンル別試聴 

1.荒井由実:滑らかな声が静けさの中にクッキリと浮かび上がる。声は艶やかで明るく、自然。声の表情は、明瞭に表現される。バックの楽器の表現も良い。全てバランス良い。 
2.ゲイリー ピーコック: ピアノの音もベースの音も存在感ある。繊細な音も、その余韻も、過不足なく響く。 音像に厚み在り、一音一音の分離良く、自然に定位する。YAMAHA NS-5000からドラムの乾いた音が出てくる。ベースの音程も自然、実存感に近い。このカートリッジは自然な表情。
3.グレングールド:ピアノのスケールの大きさが広がる。ピアノの近くにマイクがセッティングしてある様子がわかる。音楽の尊厳さが伝わって来る。 音楽を味わうのに十分なレンジ感があり、ピアノの音が、艶やかに重みを持って響いてくる。品位は、明瞭で自然なまま表現する。演奏に引き込まれる。
4.ピエールブレーズ: オーケストラの楽器の分離は、優れている。存在感や分離感を明瞭に描く。 過不足ないレベル。地を這うような重厚感が良く出てくる。レンジの狭さも感じない。 必要にして十分、打楽器も管楽器も質感は十分。デジタル録音とアナログ録音の違いも明瞭に表す。弦の質感も良好。
DENON DL-103
DENON DL-103

VAN DEN HUL THE MC-10 ジャンル別試聴

1.荒井由実:落ち着きがあり、高分解な音。ちょっと硬質感ある。 深みのある音、でも音のチャーミングさや明るさや爽やかさは失わない。それでいて細かい音も良く出る。 
2.ゲイリー ピーコック: コクのあるジャズ。まろやかなピアノ、ベース、決して音を主張して来るものでは無く、柔らかくコッテリとした音。 それでいてエネルギーを感ずる。音はやや太い。太さの中に、現代的な繊細感を再現している。ベースの音も力強く生々しい。
3.グレングールド:ピアノが重厚で力強い。音はやや太いが、軽やかに響く。音楽的空間や、音の立体感を感ずる。 光悦に現代的な要素を盛り込むとバンデハル。最新録音には適性が良い。優しい音、心穏やかになれる音。
4.ピエールブレーズ: オーケストラの濃厚さは変わらないが、音の分解性は、光悦に比べて、バンデハルの方が高い。 オーケストラの重厚感は、素晴らしいものがある。一つ一つの楽器の分離感よく、オーケストラの重み、迫力を感じる。
VAN DEN HUL THE MC-10 SPECIAL
VAN DEN HUL THE MC-10 SPECIAL
VAN DEN HUL THE MC-10 SPECIAL

光悦 Onyx Platinum ジャンル別試聴

1.荒井由実:荒井由実の声が大人びて聞こえる。若干、ハスキーさが増す。 しっとりと落ち着いた感じと、ちょっと、幻想的な世界に引き込まれる様。官能的な音。怪しい魅力。
2.ゲイリー ピーコック: 決してメリハリのある分離の良い音では無いが、コクがあり、独特の世界。まろやかさを感ずる。 芳醇なピアノの響き、成熟したワインの様。レンジ感は広くない。コクがあって、潤いのある音。ベースもコッテリと響く。 音の分離はやや甘い。デジタル録音が昔のアナログ録音の様に響く。
3.グレングールド:ピアノ演奏の重厚さが増す。まろやかに芳醇に響く。立体感や空間の深みがちょっと浅い。 コッテリとした重い音。実際のピアノの低音の響きに近い音か?古い録音に適性がある音の様に感じる。
4.ピエールブレーズ: オーケストラに重厚さが加わる。会場の広がりが生まれる。各々の楽器が柔らかく、優しく響く。 演奏会場で聴いているような実存感や迫力がある。アナログ録音の方が適性ある様。存在感あり。
光悦
光悦
光悦

DS Audio DS-E1 ジャンル別試聴

1.荒井由実:レンジ広く、定位が正確。音に若干の厚みがある。ボーカルが空間に浮かび上がり、陰影が深い。 エネルギー感があるが、不自然ではない。再現情報が多い。
2.ゲイリー ピーコック: 演奏のエネルギー感がすごい。音が鮮明でクリア、空間的広がりが大きい。 エネルギー感は普通のカートリッジより大きいのではないか。とにかく音が鮮明。落ち着いた音も欲しいが?  リアル感を求めるのなら、ベースの音が生々しく出てくる。ノイズも出てくる。
3.グレングールド:音が鮮明で、エネルギーにあふれている。一音一音の分離良い。グールドの唸り声が聞き取れる。 重低音の再現性良い。音圧が非常に高い。しっとり感とか、落ち着き感は無い。とにかく鮮明な表現を求めるなら十分な性能を持っている。
4.ピエールブレーズ: 音が鮮明、分離感が素晴らしい。演奏会場の広がりを感ずる。演奏が生々しい。オーケストラの核楽器のパートの演奏が浮かび上がる。オーケストラを眼前で聴いている様で、会場の音圧を感じる。
DS Aidio DS-E1
DS Aidio DS-E1
DS Aidio DS-E1

まとめ

カートリッジによる音の変化に驚き、よくもこんなに個性があるものと思った。 レコード再生において、音の入り口は、かなりのウエイトを占める。 近年、各メーカーからカートリッジの最新モデルが種々発売されていて、価格は、3万から100万円越えまで様々である。 親指大の小さな部品に、材料代がそんなに掛かるのかな、と思っていたが、音の違いを感ずると、価値相応なのかなと思う。 ただ、購入するかしないかは、試聴しなければならず、最上機種は試聴機会が難しいのが残念である。

おまけ

同じ録音を高音質レコードとSACDで再生した場合、どんな違いがあるか試聴してみた。
試聴ソースは、COUNT BASIE ORCHESTRA の BASIE IS BACK で2006年、仙台 電力ホールでSONYが ライブ録音した物。
COUNT BASIE ORCHESTRA BASIE IS BACK
レコード:ライブ会場の雰囲気そのままの様で、左右に広がる演奏空間の中に、各パートやソロ演奏が、自然に立ち上がる。
SACD:演奏会場の中に、各パートが際立つ様に再生される。特にソロパートはスポットライトが当たっている様である。

ー商品詳細ページへー

DENON DL-103R(標準価格:55,000円)
van den Hul The MC-10 Special(標準価格:203,500円)
光悦 OnyxPlatinum(USED販売価格:245,000円)
DS Audio DS-E1(標準価格:110,000円)
YAMAHA GT-5000(標準価格:660,000円)
YAMAHA NS-5000(標準価格:1,650,000円)
ACCUPHASE C-2850(標準価格:1,408,000円)
ACCUPHASE A-75(標準価格:1,320,000円)

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