フェーズメーションカートリッジ聴き比べ PP-2000 PP-1000 PP-500試聴レポート

フェーズメーションカートリッジ聴き比べ PP-2000 PP-1000 PP-500試聴レポート

試聴レポート~お客様より~2021年10月(2)

フェーズメーション カートリッジ3機種聴き比べ
「PP-2000」「PP-1000」「PP-500」

フェーズメーションは、1970年創業、協同電子システム株式会社のハイエンドオーディオブランド「フェーズテック(Phase Tech)」としてスタート。2010年、ブランド名をフェーズメーションとして現在に至る。理念としては「試聴者の前にステージが再現され、奏者の情念まで再現することを目指し、それには音像定位が要である」と言う。今回は、フェーズメーションの代表的なMCカートリッジ「PP-2000」「PP-1000」「PP-500」の3種を同ブランドのフォノアンプ「EA-550」とアキュフェーズのフォノアンプ「C-47」を使用してこの3機種を聴いてみました。今回の試聴はカートリッジからの接続を、アンバランス接続(RCA端子に依る)で行っております。両機ともにバランス接続は可能です。 フェーズメーション カートリッジ フォルム

主要技術ポイント 

PP-2000 :同社のMCカートリッジのフラッグシップモデル。オーディオ誌で連続1位の評価。針先のダイヤモンドの構造とカンチレバーのボロン材は、PP-1000、PP-500と共通。最新素材・最良素材を取り入れている。コイルボビン材は純鉄。6N無酸素銅をクロス巻き。磁気回路構成素材はパーメンジュール材。
PP-1000 :2011年に開発された、ローインピダースモデル。
PP-500 :PP-2000の普及型。PP-2000の技術エッセンスを入れている。
EA-550(Phasemation)フォノアンプ :L/R 2個体に分け、無帰還増幅回路を採用。MCトランスとイコライザーアンプで構成。MCトランスを独自の分割巻き構造にし、線材にPC TRIPLE-Cを採用。高品質部品を採用している。
C-47(Accuphase)フォノアンプ
MC/MMヘッドアンプとイコライザーアンプで構成。フルバランス構造。L/R回路を独立させている。低雑音電源の採用。

音の印象 EA-550を使用

PP-2000
色付けが無く、非常に生真面目な音。音は非常に繊細で、声や楽器の質感が如実に再現される。低音も豊かに響く。演奏会場の雰囲気の中に各奏者の定位、奥行き感を表現する。声の温度感や、ピアノの鍵盤をたたく微妙なタッチも感ずる。確かに、作曲者や演奏者の技量や意図が伝わってくる。レコード溝の無音部分では、レコードの材質の違いが伝わる。
PP-1000
音色はPP-2000と同質。音は若干太くなる。女性の声などは聴きやすい。PP-2000に比べると楽器の質感は甘くなり、演奏会場の雰囲気や、奥行き感は後退するが、通常の聴き方では十分な性能を持っている。
PP-500
音はPP-1000より若干太くなり、明るく、押し出し感が強くなる。声に綺麗さが生まれ、躍動感やエネルギー感を感ずる。JPOPやジャズに適している様に思える。さりとて、オーケストラやピアノの表現に過不足は無く、音楽を楽しく聴かせる。 フェーズメーション カートリッジPP-2000 音の印象 フェーズメーション カートリッジPP-1000 音の印象 フェーズメーション カートリッジPP-500 音の印象

音の印象 C-47を使用

PP-2000
音色は華やかで透明になり、アキュフェーズトーンに引きずられる。EA-550との組み合わせで得られた、繊細さ、俊敏さ、奥深さは、後退する。しかし、音の美しさ、歌唱や伴奏とのバランスは良く、音源の優劣は明確に表現する。PP-2000の特色の繊細さは反映されないような感じに思われる。
PP-1000
PP-2000に比べて音が太くなり、声に表情が生まれ、聴きやすくなる。分離、定位、全体のバランス等は良好。快活さを感ずる。
PP-500
PP-1000に比べ、音がさらに太くなり、アキュフェーズトーンとのマッティングが良くなる。声は生き生きとなり、音楽の表現に躍動感が生まれ、ジャズにはエネルギー感が生まれる。声や楽器の質感も表現され、音の分離、定位は良好、奥行き感もそこそこ表現され、聴いていて楽しく、満足のいく組み合わせと思われる。

フォルム

フェーズメーションのカートリッジのデザインは同一。フォノアンプ「EA-550」のデザインは、オーソドックスだが、シャンペンゴールドで上品な印象を与える。アキュフェーズ「C-47」のデザインはCDプレーヤーやアンプと同様で、上品な印象を与える。
フェーズメーション カートリッジ3機種 フォルム フェーズメーション カートリッジ フォルム フェーズメーション カートリッジ フォルム

リファレンス機材

プリアンプ:Accuphase/C-2850
パワーアンプ:Accuphase/A-75
LPプレーヤー:YAMAHA/GT-5000
スピーカー:YAMAHA/NS-5000

適性ジャンル 

3機種ともにオールマイティ

音楽ジャンル別試聴 EA-550を使用

1)松田聖子「風立ちぬ」ソニーマスターサウンド
●PP-2000:非常にオーソドックな表現、元の録音の為か、チョット平面的。一つ一つの音は明瞭。声が中央に浮かび上がる。若干 硬く、モニター的な音。音の色付けは感じない。
●PP-1000:PP-2000に比べて、若干、音が太くなる。松田聖子はこちらの方が聴きやすい。PP-2000より、繊細さが若干引っ込むが、実存感が出る。分解性は甘くなり、S/N比も下がる様だ。
●PP-500:声が自然。JPOPはPP-500の方が良く、聴きやすい。音の分離が良く、女性の声の表情が良く表現される。声は太めで、繊細さは後退するが、全体的なまとまりの良さを持っている。レンジ感は比較すれば、狭い。 松田聖子「風立ちぬ」音楽ジャンル別試聴

2)ダイアナ・クラール「The Look Of Love  S'wonderful 」デジタル録音のLP化
●PP-2000:声が中央に浮かび上がり、分離感良く躍動感あり、音の綺麗さを感じる。低音の量感あり。良い音源を表現する能力が高い。ダイアナクラールの悩ましい声を堪能できる。音が空間一杯に広がる。
●PP-1000:声はPP-1000の方が聴きやすい。表現が明るく感じ、健康的な若々しさを感ずる。音場の深さ、超低音の深みは無いが、普通に聴くには十分な能力がある。S/Nの若干の低下は感じるが、十分なレベル。楽しく聞ける。JAZZ VOCAL の躍動感が心地よい。 
●PP-500:声が太いが、表情に自然感がある。繊細感も感じられ、全体的なまとまりがある。PP-1000より繊細さが出ている様に感ずる。レンジはPP-2000に比べれば狭い。音の浮かび上がり方は不足無い。 ダイアナ・クラール 音楽ジャンル別試聴

3)オーネット・コールマン「At The Golden Circle Stockholm Vol.1 Blue Note/NEW YORK版」
●PP-2000:ブルーノートの鮮烈な音が表現される。音の滑らかさを感じ、ドラムやサックスの分離良い。溝に刻まれた音を全て出している感じがする。楽器の質感をそのまま出す。楽器の音が非常に繊細。ドラムの音も実存感ある。各楽器分離良好。オーネットコールマンのアルトが柔らかく聞こえる。凄みが十分に伝わってくる。
●PP-1000:PP-2000と比べると音は若干、平面的に成る。繊細な表現は一歩後退。でも、楽しさはアップする。音はPP-2000と同質。分離、定位、全て良好。また、PP-2000に比べ太い。故に、エネルギー感は強く感ずる。押し出し感がある。
●PP-500:音が太く、繊細感がある。音の質感は極めてオーソドックス。アルトの押し出し感は迫力がある。分離や定位は良く、楽しく聴かせる。ジャズの表現は、全体的なまとまりの良さがある。サックスの質感やドラムのシンバルの質感も良く表現する。質感の表現は、PP-2000や1000と比べると、若干、甘くなるが、色彩感を感ずる。 オーネット・コールマン 音楽ジャンル別試聴

4) リヒャルト・シュトラウス「Four Last Songs, Schwarzkopf」 マリアカラスと人気を二分した歌姫。ソースは第一楽章
●PP-2000:ソプラノの明確な表現。歌唱の正確さや情感が明瞭に伝わってくる。オーケストラと歌手のバランス良好。表現能力が上がると、自然感に近づいてくる。一つ一つの楽器の分離や、奥行きや立体感を感じ、レンジの広さを感ずる。
●PP-1000:繊細感は後退するが音は綺麗である。表現が若干平面的に成る。しかし、声の浮かび上がり方、発声の技量、声の質感、オーケストラと歌手のバランス良好。声の表情、音楽性良くわかる。音が太くなる。聴いていて、緊張感を伴わない。
●PP-500:声は美しく、オーケストラは実存感をもって再現される。声やオーケストラの分離良く、声の表情、歌唱の技量等、明確に表現する。定位、分離は良好。色彩感ある表現。 リヒャルト・シュトラウス 音楽ジャンル別試聴

5)グレン・グールド「Bach: The Goldberg Variations」
●PP-2000:ピアノの表現が奥深く、重低音まで良く伸びている。グールドの唸り声が、微かだが聞こえる。S/N比が高く、演奏の音しか聞こえてこないように感ずる。演奏家の技量が明確にわかり、鍵盤へのタッチ、明瞭な音階の表現が生々しい。ピアノの余韻等、全て自然。音の表現の多彩さを感ずる。演奏家の意図、技量、作曲家の意図、録音エンジニアの意図、技術が明瞭に提示される。
●PP-1000:表現が若干表面的になる。グールドの唸り声は聞こえる。やはり、楽しく聞けるのは、PP-1000か。ピアノの質感は良く出る。低音の深みは後退する。繊細感が若干甘くなる。しかし演奏のテクニックは十分伝わる。
●PP-500:音にエネルギー感がある。重厚さは無いが楽しく聴かせる。軽やかなピアノの表現。ピアニストの技巧を余り緊張感を持たずに聴ける。音は太い、ピアノの音色の表現は自然。色彩感あふれる。 音楽ジャンル別試聴

音楽ジャンル別試聴 C-47を使用

1)松田聖子「風立ちぬ」ソニーマスターサウンド
●PP-2000:アキュフェーズらしい透明感を感ずる華やかな音になり、声は綺麗になる。若干、硬質な音。伴奏と歌手の浮かび上がらせ方は良好。分離も良い。レンジ感は若干狭くなる感じ。表現の曖昧さは無い。繊細感は後退する。
●PP-1000:若干華やかさは後退。しかし、全体的なバランスや音の分離は良好。レンジは広く、音階は明瞭である。
●PP-500:全体的バランス良好。JPOPには、フェーズメーションPP-500とアキュフェーズC-47の組み合わせは良好。音に押し出し感がある。繊細さは薄れるが、このLPにはあっている。表現は少し粗である。

2)ダイアナ・クラール「The Look Of Love  S'wonderful 」
●PP-2000:声は綺麗で、まとまりがある。伴奏と声の浮かび上がり方がバランス良い。若干硬質。フェーズメーションEA-550と比べると深みが少ない。PP-2000の繊細さが消える。
●PP-1000:声の華やかさ、明るさを感ずるが、PP-2000との差が良く分らない。声の太さは、実存感に通じる。全体的なバランスは良い。
●PP-500:静かさと落ち着き感が、美しい声に伴って聞こえる。情緒感がたっぷり。声の浮かび上がり方と、全体のバランスが良い。バックの楽器も綺麗に鳴る。これだけ聞ければ不満が無い。

3)オーネット・コールマン「At The Golden Circle Stockholm Vol.1 Blue Note/NEW YORK版」
●PP-2000:音が明るく張りがある。低音も良く出る。定位良い。全てがアキュフェーズ色、音が若干甘くなる。エネルギー感が若干後退する。音の分離は良いが、サックスの繊細な音が出てこない。
●PP-1000:アルトサックスの音が綺麗で、押し出し感がある。音の生々しさは伝わって来るが、アキュフェーズ色で若干マイルド。
●PP-500:鮮烈さが強い。エネルギー感を感じる。ジャズが濃厚に迫る。シンバルが生々しい。サックスのエネルギー感が良い。

4) リヒャルト・シュトラウス「Four Last Songs, Schwarzkopf」 マリアカラスと人気を二分した歌姫。ソースは第一楽章
●PP-2000:声は綺麗。華やかで、全体的に纏まりが良い。全てをアキュフェーズ色にする。
●PP-1000:華やかな音、音の滑らかさは十分ある。全体的にバランスの良い音。オーケストラの展開が小さい。
●PP-500:声の纏まりが良く、明るく華やか。オーケストラの立体感も、声の浮き上がり方も自然。 声の厚み、伸びやかさを感ずる。聴きやすい。 

5)グレン・グールド「Bach: The Goldberg Variations」
●PP-2000:ピアノの音は綺麗。音のバランスは良。音に繊細さと深みが無い。綺麗にまとまっている。
●PP-1000:明るく、華やかなピアノ。
●PP-500:まとまりの良いピアノ。表現に過不足無い。技巧の良さは分かる。音に深みがあり、軽快さもある。

まとめ

フェーズメーションのカートリッジの繊細さは、他に類を見ないものがある。この微弱な信号を生かすヘッドアンプとして、フェーズメーションEA-550が相応しい様に感ずる。優秀録音のデリケートな演奏を見事に再現する。レコードの音溝の無音部分では、盤質の違いまで再現する。演奏家の技巧、情熱までリアルに感じ取れる。アキュフェーズのフォノアンプは、透明で、華やかな音色に統一され、音の太いカートリッジと相性が良く、音楽を生き生きと楽しく聴かせる。音色や音の太さに違いのあるカートリッジは多々あり、さらなる試聴が求められる。伝統的な、オルトフォン等のカートリッジは検討に値すると思います。

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