2020年8月レポート

今回は、スタッフが最近読んで面白かった、人気の漫画『BLUE GIANT』を、JAZZがとても好きなお客様におすすめしたところ、読んでくださったようで、こちらのレポートをいただきましたのでご紹介いたします。

BLUE GIANT

『BLUE GIANT 1~3巻』 ~お客様より~2020年08月

今、巷ではBLUE GIANTという漫画が人気らしい。こちとら、タッチとベルサイユの薔薇を最後に、漫画にはとんとご無沙汰だった。
本屋の店頭で見ると、刷数は32刷に及び、棚が売り切れた本で、櫛の歯が欠けたようになっている。漫画の良し悪しなんて分からないが、AV BOXの音楽関連のエピソード記事として、テーマがJAZZなので、トライしてみた。
(※以下よりあらすじ紹介があります。ネタバレ含みます。未読の方ご注意ください。)

■■BLUE GIANT

主人公は宮本大(みやもと だい)、仙台在住の高校生で、テナーサックスを演奏し、世界一のジャズプレーヤーになるのを目指している。登場人物はほとんど善意の人だけ。主人公のジャズを志した動機から始まり、ジャズとは何かとの回答探しや、彼が演奏する音が非凡な為、楽器屋の店主、ライブハウスの店主が演奏する機会を与え、バークレーに留学しながら挫折したテナーサックス演奏者から演奏技術を教わり、成長が描かれる物語。

■■BLUE GIANT 1巻

BLUE GIANT1巻

宮本大は中学卒業時、友達からジャズライブに誘われ虜になる。
高校では、バスケット部に所属しながら、毎日、広瀬川の河川敷でテナーサックスの練習をする。
楽器屋の店主は、大がリードを買いに来る頻度に驚き興味を持つ。
テナーを練習していると聞きつけた級友からジャズとは何かと問われ、激しくて自由な音楽。大人のオシャレな音楽かと問われ、あつくて激しいものと、答える。ケチをつける同級生や、バイト先の店長にジャズの本質を言葉で伝えられない自分にイライラするが、いつもと違って大きく見えた自然に感動し、ジャズってんなあと思う。
大の家庭環境は、父と兄と妹。早くに母を亡くす。兄は独立しているが、それなりに父を気遣う。妹も、父に再婚を勧める。その父から高校を卒業したらどうするのだと問われ、ジャズが好きでジャズプレーヤーになりたいと言う。父は、やれと、快諾する。
BLUE GIANT1巻 大の練習を見に来た楽器屋の店主が、ライブの出演を段取りしたと告げる。大のバスケ部仲間で、試合から降板させられる大をかばい自分も試合を降りた友人が引っ越す時、サックスを吹き、凄いプレーヤーの演奏には、嬉しさや悲しさを込められると言い、送別の演奏をする。
楽器屋の店主が段取りしたライブはBGM的ジャズから始まるが、大の演奏は、キーが合わず音がでかい、しかも、初ライブだから、今までの練習成果を全部出すとの入れ込みから、客からうるさいと苦情を言われてしまう。しかし、同席した楽器屋の店主やピアノ担当は大の出す音に非凡なるものを感じる。

[今回登場するジャズアルバム]
ージョニーグリフィン、ザ リトル ジャイアントー
165cmしかない身長から、調子よく吹きまくる熱い演奏を行うプレーヤー。このアルバムは、比較的メロディやアドリブが明確で聞きやすい。しかし、激しさは相当なもの。彼の最高傑作と言われるのは、ケリーダンサーズで、25 1/2 デイズからのナンバーが、ブラックフィーリングがふつふつと沸き、又、バリーハリスのピアノが良い。

BLUE GIANT BLUE GIANT1巻

■■BLUE GIANT 2巻

BLUE GIANT1巻

なんとなく恋心をいだく同級生の三輪さんとの話から始まる。
三輪さんは、花火大会の日でも土手で練習する大を尋ねる。大は練習している曲をヘッドフォンで聴かせる。(※ジョンコルトレーンのアルバム ブルートレインより モーメント ノティス)を大音量で聴かせる。はじめはビックリするが、最後は納得の表情。
帰り道、ストリートミュージシャンが、酔っ払いから「ヘタクソ」と言われているところに遭遇、大は「皆、音が出ないところから始まって、いつか誰かの気持ちに届く音を出す」と言う。
大が河原で練習していると、ライブハウスの店主が、聴かせたい人がいるから店に来て、と言われ店に行く。
待っていたのは先日の酔っ払いの由井だった。大は由井の弾くピアノの前で演奏し、デクスターゴードンやジョンコルトレーンのマネや独自のソロで演奏する。由井は面白いと思う。隠れて聴いていた店主は、こんな音の店にしたかったと言う。
BLUE GIANT 大は、由井を尋ね、テナーの演奏技術の初歩を学習し始める。バイト先のガソリンスタンドが閉鎖になり、店長の将来を気遣う大の気持ちが音に出る事を由井は気づく。しかし、世界一のジャズプレーヤーになりたいと言う大に、楽譜も読めないくせに傲慢だと言う。
友人から将来を聴かれ、ジャズプレーヤーになると言う。根拠はと問われると、CDを聞くと一流の演奏家でもジャズプレーヤーになりたいとの志を感じ、自分は世界一のジャズプレーヤーになると毎日、言い聞かせていると言う。
由井との練習の中で、由井のサックスプレイを聞いて、演奏の素晴らしさに聞き入るが、由井は大の音は人を圧倒出来る、その方が上と言う。
三輪さんとデートで定禅寺ジャズフェスティバルに行き、会場から離れたところでソロを吹き、ライブの出演者や新人発掘の音楽関係者や一般の人からも注目を浴びる。
大の持っている楽器は、セルマーと言って、世界的に評価の高いもの。母を亡くした大に、兄貴が初任給から36回の月賦でプレゼントした物だった。 

[今回登場するジャズアルバム]
― ジョン コルトレーン ブルー トレインからモメンツ ノーティス ー
コルトレーンがブルーノートに残した唯一の作品。デビュー当初の下手糞なテナーから、迫力と確信に満ちた演奏を聴かせる。ここから、16分音符を基調とした複雑多彩な音を敷き詰めて行くようなシーツ オブ サウンド奏法に発展していく。

BLUE GIANT

■■BLUE GIANT3巻

BLUE GIANT3巻

大の演奏に手ほどきをした人に、音楽教師の黒木先生がいる。まず、サックスの指の押さえ方を教え、人間は生きるために食べるのだけど、音楽も生きるために必要と教える。そして、文化祭で、大と校歌をテナーとピアノでジャズ演奏する。会場は感動に包まれる。
師匠の由井は、感激する大を見て、会場の人はジャズを初めて聴いたのではないか、金を払った人が何人感動してくれるか、ジャズの世界はそんなに甘くはないと諫める。
大は、18才の誕生日を記念して、作曲をしようと思うが出来ない。三輪さんを思っても出来ない。しかし、いつも出会う犬のバーナムが死んだとき曲は出来るのだった。
BLUE GIANT3巻 大は由井にレッスン料を払ってなかった。父親は、由井にレッスン料を払いに行くが、由井は大が面白いから金はとらないと言う。大は、技術と内側がつながるポイントに近づいており、上達の速さが早いと言う。そして、ブルージャイアント(世界一輝くプレーヤー)になってくれたらと言う。
大晦日、黒木先生の娘が帰省した。プロになるため音大まで行ったが挫折した。プロになれるか、成れないかの分かれ道はどこにあるのだろうと言うと、音楽を愛する気持ちの才能と言う。黒木先生は、大は雪の降る中でも河原で練習していると言う。大は、寒の中、音が雪に吸収されて、心が折れそうになるが、土手を歩く猫の足跡を見て、まっすぐ前を向いて行くと、思う。それを、黒木先生と娘が見に来る。
由井は大の成長を見てバンドの中で吹けと提案する。そして、大が初ライブを行った店で、前回のピアニストと、大をうるさいと言った客を招いて演奏するのだ。

[今回登場するジャズアルバム]
―ジョンコルトレーン ジャイアンツステップからカウントダウンー
初めて聞く人には、ただ、うるさいだけの作品。従来のジャズは、メロディの変転を主体としたが、コルトレーンは単音楽器でいかにハーモニカルに吹くかに挑戦した。そして、驚異的な速さでコード•プログレッション(コードの連続)を吹くシーツ オブ サウンドと言う演奏方法を編み出し、このアルバムで限界まで挑戦する。

BLUE GIANT3巻

出典:
石塚真一(2013)
BLUE GIANT
出版社 小学館

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