2020年7月レポート

今回は『静岡県ジャズ喫茶巡り第五弾』のレポートをいただきましたのでご紹介いたします。

今回の舞台は静岡県袋井市にある『Live & Cafe' マムゼル』さん。
こちらのお店はJAZZ喫茶には珍しく、街中ではなく、郊外の田園風景の中にあります。ゆったりとした空間に佇む大きなグランドピアノやドラム。YAMAHAのピアノは良質な木材が入手できた頃のもので、とても響きがいいのだそう。こちらでは定期的にライブが行われ、過去には著名な方々が登場しています。オーナーが所有するレコードやCDは貴重なものばかりで、時を忘れて何時間でもここにいたくなってしまう。そんな素敵なお店です。

マムゼル店内風景

静岡県ジャズ喫茶巡り 第五弾 ~お客様より~2020年07月

■■Live & Cafe' マムゼル

CAFÉ マムゼルは袋井の堀越にある。袋井は可睡斎やゆりの園が有名で、その、ほぼ西に位置している。
昔は、袋井駅から遠州森町まで、静岡鉄道森町線が延び、可睡斎の参拝客や、森町の農産物の運搬を担っていたらしい。 昭和37年に廃線になり、線路後は県道58号線となった。
マムゼル外観 普通、ジャズ喫茶は学生街や繁華街に店を構えるが、閑散と住居が並んでいる田園風景の中にあるのは珍しい。
ただ、天竜川をはさんで直ぐ浜松で、YAMAHAとか河合楽器の様に、音楽に関わる産業が発展していて、 音楽に敏感な人々の社交場になっており、なるほどと思わせる立地となっている。
マムゼルは、もう35周年を迎えた。当初は、フレンチレストランとしてスタートした様だが、 ジャズ喫茶並びライブハウスへの転身により今日の地位を築いている。
マムゼル看板 お店の外観は、おしゃれなレストランで、スペースが広く、LPプレーヤーやアンプが置かれたガラス張りの部屋を挟んで、ジャズオーディオを聴かせる空間と、ピアノとドラムが置かれライブ演奏が行われる広い空間に分かれている。
マムゼル店内 マムゼル店内 メインスピーカーはJBL オリンパスS8R(アルニコ)、アンプはマッキントッシュC-22+MC275、 ガラード301、オルトフォン初期型ロングアームとシュアーM3D、 他の一系統は マランツ #7+#8 テクニクスSP-10 SMEロングアーム エラックカートリッジでドライブしている。
マムゼルスピーカーJBL デューク ピアソン:テンダー フィーリングをブルーノートオリジナル盤で聴かせてもらったが、 音はクリアーで音像が明快、ピアノが快活に楽しく響く。低音が良く締まり、ベースのブルン感も良く出る。
音の濃厚さと実存感はオールドJBLならではである。アニー ロスのボーカルでイタリア録音されたレコードを聴かせてもらったが、 録音の良さに驚いた。ヨーロッパの方が、録音機材が優秀だと言われた。
デュークピアソン 又、マランツ#7+#8のラインを聴かせてもらったが、若干、おとなしめになり、 しっとり感が出てくるが、ジャズのエネルギー感は後退することなく、 ズートのテナーやダスコゴイコビッチのトランペットは生き生きと鳴る。
店主は、ピアノはマランツラインの方が綺麗に鳴り、低音はマッキンラインの方が良く出ると言っていた。
しっとり感を出すには、オルトフォンSPU-GTEを使用する様だ。この再生には、リムドライブのガラードプレーヤーと、 ダイレクトドライブのテクニクスプレーヤーが使われており、ダイレクトドライブのコギング音を聞き分けられかなと思ったが、ほとんど差は感じられなかった。
マムゼル店内 驚くべきは、店主がかけてくれるレコードで、見た事のない10インチ盤とかEP盤をお持ちである。 世界で10枚しか作られなかった、マイルスとロリンズのサンプル盤もある。
ホームページには、高価で手が出ないブルーノートオリジナル盤や、ズートシムズのデュクレテ トムソン盤等ネットでもお目にかからないレコードを所有している。
40年ぐらいかけて、海外のオークションで手に入れてきたようだ。LPは6000枚、CDは1000枚ほど所有しておられる。
マムゼル店内レコード・CD 定期的に行われるライブには、ビッグネームが登場する。
過去の出演者を見ると、デュークジョーダン、ローランドハナ、ジョルジュアルバニスタや、現役のリッチーバイラーク、ダスコゴイコビッチ、 リニー ロスネス、ヤン ラングレン等が散見される。「こんな人達を呼べるなんてすごいですね。」と言うと、 「長い間やっているといろいろな人とつながりが出来てね。」と言われていた。
ディスクユニオンの編集長とも親しく、マニア向けに発行しているオリジナル小雑誌にも、山中千尋さんとのインタビュー記事を載せていた。
ライブでは、山本剛や鈴木良雄のデュオや、セミプロや愛好家のジャムセッションンが頻繁に行われ、その様子は、YOU TUBE の映像で見られる。又、月一回、レコードとオーディオを使用した、ジャズ宵という鑑賞会が行われ無料で参加できる。このマムゼルを中心に、ジャズのコミュニティーと文化圏が出来上がっている様だ。 
又、会場にあるYAMAHAのピアノは、良質の木材が入手できた頃の製品で、非常に響きの良いものだと言っていた。
マムゼル店内 マムゼルと言う店名は、フランク シナトラ等の歌唱で有名になった歌からきている。
フランス語のマドモアゼルの短縮形みたい。お嬢さんと訳されるのかもしれない。 ″君の瞳は煌めいて素敵だけど、いつか別れが来るだろう” との切ないラブバラードから取ったもの。
少し前まで、可睡斎では、油山寺と法多山と共同で、風鈴祭りが開かれていた。(※こちらの写真は2019年に撮影されたものです)
風鈴祭り 色鮮やかな江戸風鈴が多数吊り下げられ、風に鳴っている。油山寺は南部風鈴、法多山は願い事を書いた短冊が吊り下げられた風鈴が鳴っている。
又、可睡ゆりの園では、3万本のユリが咲いている。黄色や白色のゆりの群落が展開していて、心惹かれる風景である。
可睡斎ゆり園 このような環境にあるマムゼルで、いつまでも、時間を忘れてジャズを聴いていたいなと思う。
こんなお店が身近にあったらなら入り浸っちゃうなと思う。しかし、静岡市民には帰りの時間がせまり、別れが来るのである。店長のジャズへの造詣の深さと人柄がにじみ出た空間でした。

 

【LIVE & CAFÉ MAM’SELLE マムゼル】
住所:静岡県袋井市堀越1802-1  MAP
TEL:0538-42-6440
営業時間:10:30~19:00 (ライブのある日は23:00頃まで)
定休日:月曜、木曜不定休 (ライヴ、イベントのある日は営業) 
HP:http://mamselle.sakura.ne.jp/ 

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