
1980年代、まだ米国のジャズが燦然と輝いていて、JBLはジャズの再生のみを目的としてスピーカーを作っていた。又、数々のハイエンドな機器も、アメリカや、ヨーロッパの文化を際立たせる音作りを目指した。その後、録音はアナログからデジタルに変更され、ジャズの世界もヨーロッパのECMレコードの登場により、エネルギー感や躍動感、生々しさを基調としたものから、静寂、透明性、余韻等を基調にしたジャズが現れてきた。ジャズの表現にも、クラシックに要求される静けさや荘厳さが求められた。又、スピーカーの開発にコンピューター解析が使われ、入力されたオーディオ信号を、いかに正確に出力されるかが要求されるようになった。今は繊細、俊敏な反応と空気感まで感ずる分解性が必要とされる時代になっている。JBLのモニターシリーズも4338以降、クラシックにも対応する繊細さや、透明感も出せる様に設計されるようになった。
今回はJB「4344」を中心に、その時代のハイエンドな機器がどんな音作りをしていたか試聴した。試聴機器は、JBLがジャズの臨場感のみを再現する事を対象とした「4344」アナログプレーヤーは、THORENS TD-124(MARKⅡ)、プリアンプ KRELL PAM-2、パワーアンプAUSTIN TVA-1、CDプレーヤー STUDER D732である。さらに、アキュフェーズ C-2850、YAMAHA NS-5000を加え、この時代の音作りが現代のオーディオ機器にどのようにマッチィングするか聞き比べて見た。アキュフェーズのプリアンプは、かつてオーディオ評論家の瀬川冬樹さんが、C-240とTVA-1の組み合わせを 「たっぷりと潤いのある豊かな響き、滑らかで上質でコクのある味わい、水分をたっぷり含んで、十分に熟した果実のような香り高い音」(※㈱ステレオサウンド社版 ステレオサウンド参照)と評したのを受け、現代版のC-2850の使用がどのような音を表現するか、聞いてみた。
JBL 4344 アメリカ製 1982年 定価650,000(一台)ジャズの再生に定番のモニタースピーカー、太く、分厚い音、エネルギー感あふれ、ズドンと来る低音を持つ。THORENS TD-124 MARK 2 スイス製 1960年 アルミ製のターンテーブルで、スプリングのフローティングでは無い。繊細感がありながら、重心が低いとの評価。オルトフォントーンアームRMG212 含む。KRELL PAM-2 アメリカ製 1980年 定価¥830,000。左右独立の純A級コントロールアンプ 音に艶があり、躍動感、エネルギー感の押しもあるが、引きも両立させる。Michelson&Austin TVA-1 イギリス製 1979年 定価¥590,000 音は、非常に派手で、力強く荒々しい低音を出す。スイッチを入れてから、一時間すると、しっとり感がでる。STUDER D732 スイス製 1994年 定価¥580,000。ワイドレンジで、安定感がある。ヴォーカルが力強く、高音が艶やかで、伸びのある音。ラックスマン昇圧トランス 405C 定価¥49,000 。
CD
◦平原綾香のオデッセイより明日
◦ロバータ ガンバリーニのイージー トゥ ラブよりイージー トゥ ラブ
◦マイルス ディビスのカインド オブ ブルーより、ソー ファット
◦ユンディのショパン ノクターンよりノクターンNO.20
◦ヒラリー ハーンのチャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 二長調 作品35を使用しました。
アナログレコード
1) 荒井由実 海を見ていた午後
2) 西直樹&高橋達也、ストレート ノー チェイサーより アイ リメンバー クリフォード
3) バド パウエルⅠ ウンポコロコ
4) CLASSIC シューベルト 鱒 ブレンデル クリーブランド
JPOP:音はやや太いが、低音の上に、音像が浮かび上がる。弦楽器の実存感が十分に味わえる。
声は、色付けが無く自然。
JAZZ VOCAL:伴奏の各パートの分離が良好で、音像がクッキリ浮かび上がり、中心にヴォーカルが存在する。
レンジ感広く、音がストレスなく広がる。躍動感が自然で、音楽に乗れる感覚。ウキウキしてくる。
JAZZ:音が自然。各パートの分離良く、実存感がある。ペットやドラムの定位良好。音の厚みある。
CDでも、十分迫力を感ずる。JBLの全盛期の音のように感ずる。
CLASSIC PIANO:ピアノの音が、高音が強調され、深みがでない。ピアノの透明感や柔らかな響きが出ない。音が硬い感じがする。
CLASSIC VIOLIN:オーケストラを演奏会場の最前列で、聞いている様な感覚。バイオリンは、実存感があり、弦が震える様な音は良く出る。オーケストラの沈み込む様な音は良く出るが、音が力強い。バイオリンの浮かび上がり方は魅力的。オーケストラのスケール感は希薄になる。
VOCAL:荒井由実の声が、残響の多いライブ会場で聴いている様で、しっとり感が無い。元気良すぎる。各パートの分離は良好。JAZZ楽器の音は濃厚、かつ艶やかで、迫力に満ちている。瞬発力も自然。ライブ会場の目の前で聴いている様な雰囲気。ゴージャスで、音楽に浸りきる事が出来る。JAZZピアノの音も、シンバルの音も、実存感がある。ピアノを目の前で弾いている様な感覚に陥る。音は、低音から高音まで、歪なく出ている。CLASSIC 音は明瞭で実存感があるが、元気が良すぎる。静寂感、荘厳感は少ない。ピアノの一音、弦の一音は魅力的。
JPOP :声にしっとり感や、艶や、ほのかな優しさ、色香がのる。音の分離は、クレルの方が良好。一般的なアキュフェーズの音。荘厳感は強くなる。音域はピラミッド。
JAZZ VOCAL: 声は滑らかになり、細やかさは増す。S/N比は向上。ピアノの音も自然。クレルほどではないが、音に厚みがある。
JAZZ :クレルに比べると、音場が平面的、立体感が少なくなる。サイドの広がりは増す。音が少し、引っ込む感覚。
CLASSIC PIANO:ピアノのしっとり感は、出るようになる。一音一音ハッキリするが、高域が強調されたような感覚は残る。荘厳感や、格調の高さは出てくる。
CLASSIC VIOLIN :オーケストラの存在感が出る。バイオリンのオーケストラとの調和感が良い。果実の様に瑞々しい音と評された音が良くわかる。クラッシクなら、アキュフェーズの方が圧倒的に良好。
荒井由実 :声がクッキリ浮かび上がり、落ち着きがあるが、ライブ感が付きまとう。声は明瞭で元気があるが、バランスは、それなりに自然。
高橋達也&西直哉 :現代録音の為か、しっとり感ある。一音一音、際立つような鳴り方はしない。迫力より、静けさを感ずる。
バド パウエル :音の厚みは薄くなる。シンバルの金属音は綺麗に出る。楽器の表現の繊細感、分解性に差があるとは思えないが、音の作り方に差が大きい。
CLASSIC :弦楽四重奏のしっとり感は、良く出る。上品さが増す。楽器の調和が自然、ピアノの透明性が良く出る。静かなクラシック。弦の響きが、瑞々しい。
JPOPS :平原綾香 おとなしくしっとりした声、分解性高く、音の分離は良く、現代的な、高精細で荘厳な音になる。
声が浮き上がり、音のバランスは自然。
JAZZ VOCAL :高録音のCDの音は、YAMAHAの方が再現性良好。クレルでも、ヴォーカルの良さは十分表現する。JBLに比べ、YAMAHAは、派手さは無く、落ち着いた、しっとりとした雰囲気。JAZZ 音の凄み出る。音の分離良好。ベースの躍動感や、トランペットの実存感は、アキュフェーズより上。一個一個の楽器の鳴らし方が際立つ。
CLASSIC PIANO ::ピアノの表現は、クレル+オースチンの方が統一感がある。静かで、落ち着きのある雰囲。YAMAHAでも、この組み合わせの良さが十分味わえる。
CLASSIC VIOLIN :静かで、荘厳な音。バイオリンの実存感に引き込まれる、オーケストラの広がりも十分に出る。音のレンジは広く、ストレスは感じない。
JBL4344は、1980年代のオーディオ機器を組み合わせたほうが、ポテンシャルを発揮できる。この時代のCDプレーヤーや、プリアンプ、メインアンプも、時代のトレンドに合わせて、設計された様な気がする。JBLは、地下室のライブハウスのジャズ演奏を再現するために設計された様なスピーカーで、ジャズのみ興味がある人にとっては、この上もないオーディオ機器でしょう。当時の金額で、トータルで3,393,600円、AV BOXの中古価格で1,645,400円、安い買い物でしょう。アキュフェーズのC-240が、どんな音だったか、想像がつかないが、C-2850やYAMAHA NS-5000は現代的な機器で、最新のオーディオ機器を組み合わせたほうが実力を発揮できると思います。
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