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1953年創業のマランツは、マランツ#7、#9に代表される理念(忠実性、繊細なニュアンス、奥深い質感)を軸に、情報量が多く、温かみがあり広がりや豊かさを感じられるような音作りを発展させてきた。マランツは、比較的リーズナブルで庶民的な製品が多かったが、今回発売された「SACD 10」「MODEL 10」は、マランツが持つ技術の全てと、厳選されたパーツの採用、強固な筐体により、何処までオーディオの品質を高められるかの挑戦であったように思える。結果、「SACD 10」は1,980,000円「MODEL 10」は2,420,000円と言う高価格になったが、価格にこだわらない品質の追及がどれほどの効果をもたらしたか、いつものリファレンスで試聴してみる。また、アンプをアキュフェーズのC-2900、A-80に変えると、どんな変化が感じられるかを試聴し、SACDプレーヤー機の比較としてアキュフェーズのDP-770との試聴も試みた。
■比較試聴は試聴レポート1月(2) (3)ページに掲載
※1月(2) SACD 10 + C-2900/A-80
※1月(3) SACD 10 DP-770
【SACD 10】
●新トランスファー「SACDM-3」、ピックアップ制御とデコードを行う回路の最短、最小化。
●ディスクの回転振動をスティールシャーシとアルミダイキャストトレーにより抑制し、データー読み取り精度を向上。3層構造のボトムシャーシーに固定し、制振性を実現。
●超低位相雑音クリスタルクロックの採用。SA-10のクロックに比較して、位相ノイズが15㏈改善。マランンツが採用する1bitDACはジッターの影響に敏感だが、超低位相クロックの採用により、ジッターによる影響を排除し、明瞭な定位と見通しのよい空間表現を実現。
●ディスクリートDAコンバーターはデジタルフィルターMMM-streamとDSD信号をアナログ変換するMMM-conversionで構成される。それぞれをデジタル基盤とアナログ基板に分離、バッファーICを8chのIC一個から、1chのIC8個に変更。
●フルバランスオーディオ回路を採用。パーツの厳選と銅メッキ鋼板によるシールド。
●アナログとデジタルの電源分離。
●トップカバー12mm フロントパネル45mm メインシャーシー 1.2mmの銅メッキ鋼板、3.2mmと1.2mmのボトムプレートの3層構造。
●純銅削り出しピンジャック、厚みのあるニッケルメッキ。
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【MODEL 10】
●2015年以来、改良を重ねた自社開発のCLASS Dパワーアンプの採用。バランス回路によるBTL接続で、500W+500W(4Ω)を達成。スイッティング電源の自社開発。モノアンプによるデュアルモノ構成。
●可聴帯域の周波数特性は極めてフラット。スイッティングアンプ入力直前の電圧増幅アンプは電流帰還型を採用し、低ノイズ、低歪、高スルーレート、低出力インピーダンスと成っている。
●プリアンプは、超高域に至るまでの優れたチャンネルセパレーション、音の実存感、そして広大かつ安定した空間表現を実現するため、フルバランス構成。
●デジタル制御の可変ゲインアンプによってボリュームを高精度に調整。-13㏈以下ではパワーアンプのみで増幅する。ノイズの低減。左右チャンネルのクロストークや音量差を生じない。L/RにボリュームコントロールICを用いたバランス構成。
●プリアンプ専用電源と2つのパワーアンプ用スイッティング電源を搭載。銅メッキシールドケースを備えたトロイダルトランス採用。マランツ専用のブロックコンデンサーとバリアダイオード採用。パワーアンプ用電源には、基板上のレイアウト、パーツの選定、放熱設計等独自に開発。
●空間表現の為に、トップカバーをアルミニウムからステンレスメッシュに変更。
●筐体:フロントパネル45mm、サイドカバー15,8mm、ボトムシャーシー3.2mm,1.2mm,1.2mmの銅メッキ鋼板の3層構造。ピンジャックは純銅削り出し、厚みのある1層のニッケルメッキ。
●20㏈ゲインのMCヘッドアンプと、40㏈ゲインのフォノイコライザーアンプの2段構成。信号経路は全てディスクリート構成。
●複数のMODEL 10を使用し、バイアンプやマルチアンプドライブが可能。
●SACDプレーヤー:marantz/SACD 10
●プリメインアンプ:marantz/MODEL 10
●スピーカー:YAMAHA/NS-5000
SACD 10+MODEL 10+NS-5000の音は、あたかも、水道から水が、全開で流れ出てくるような音で圧倒される。全ての音が分解性高く明瞭で、曖昧な所が無く、活力のあるダイナミズムに支配されている。音のエネルギーに包まれる感覚は、演奏会場の第一列席で聴いているようである。marantzの音作りは、ダイナミズムに訴えてくるような音楽に適性があり、スイングジャズやオーケストラの臨場感には圧倒されるが、女性歌手や弦楽器の演奏等には元気が良すぎる印象を受ける。しかし、その音には分解性高く、細部も十分再現されるため、組み合わせるスピーカーで、様々な能力を発揮するポテンシャルを持っていると思う。ジャンル別に聴いた印象では、JPOPの手島葵は、元気が良すぎ、哀愁感が損なわれる印象を受ける。JAZZ VOCALのシーネイでは、ダイナミックなライブ感が強く生々しい迫力に満ちている。SINGJAZZでは演奏会場のリアリティを感じ、迫力がある。CLASSIC VIOLN では、音は明瞭で綺麗だが、しっとり感は薄い。CLASSIC ORCHESTRAでは、演奏会場に個々の楽器が展開し、演奏に体ごと包まれる雰囲気を味わえる。
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1)手嶌葵 Aoi Worksより さよならの夏
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音は明瞭で力強く、声の繊細な表情も深く表して来る。歌手の発する、歌詞をつかみ易い。ライブステージの間近で聴いている様な距離感である。声の艶やかさ、柔らかさ、息遣いまで再生し、ピアノの音も艶やかで、重低音も破綻なく出している。元気な雰囲気だが、程々に哀愁感もノスタルジー感も伝わって来て、曲のイメージを味わうのに妨害にならない音作り。
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2)Sinne Eeg Face The Musicより月光のいたずら
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声は明瞭ですべての音が勢いよく出てくる。目の前にライブステージが広がる様。表現に曖昧な所は無く、全ての声、楽器が分離独立して演奏空間に浮かび上がる。歌手の実力が如実に分かる。再生レンジが広く、音に破綻が無い。
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3)Manhattan Jazz Orchestra SING SING SINGよりSING SING SING
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生々しいジャズ。低音の迫力が凄く、YAMAHA NS-5000がバリバリ鳴り駆動力の高さに驚く。音の分解性が非常に高い。一つ一つの楽器の質感が高く、聴き応えがありライブステージを目の前で見ている様。ドラムの乾いた音も、管楽器を吹く息づかいもリアルで生々しい。音は交じり合わず、迫力満点。体ごと音楽に包まれる。
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4)Beethoven:The Violin Sonatas Sonatas5
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音は鮮明であざやかだが、しっとりするような余韻は少ない。バイオリンとピアノの距離感も感じられ、各々の音も生々しく、演奏のすべてが伝わって来る。
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5)Mussorgsky 展覧会の絵 よりプロムナード、こびと
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オーケストラの表現が生々しく、演奏会場の第一列か第二列で聴いている様。全ての音が、滲みなく、明瞭に出てきて、演奏会場の重厚な雰囲気が伝わって来る。曲想の切迫感が生々しく、作曲者の意図が表現される。我々がオーディに求めるオーケストラ再生の完成に一歩近づいた姿を見ている様。
今宵は、ART BAKEY /A NIGHT AT BIRDLAND WITH THE ART BLAKEY QUINTET VOL.1を聴きます。ハードバップの夜明け等の文言で紹介されていますが、アートブレーキー、クリフォードブラウン、ルードナルドソらは若々しく、溌剌とした熱気に包まれています。アートブレーキーの煽り立てる様なドラムと、クリフォードブラウンの26才とは思えない円熟した演奏が、聞き応えがあります。
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