DENON DP-3000NE 試聴レポート

DENON DP-3000NE 試聴レポート

試聴レポート~お客様より~2023年11月(1)

DENON DP-3000NE

2023年10月上旬、DENONはダイレクトドライブ・レコードプレーヤー「DP-3000NE」を発売。DENONのLPプレーヤーの歴史は、放送局用LPプレーヤーを民生用にしたDP-5000から始まりますが、高価だった為、DP-3000が開発されマニアの間で好評を博した経緯を持ちます。今回は、そんなイメージを引き継ぎ、DP-3000NEのネーミングになったと思います。LPプレーヤーのデザインは、高級感のある黒檀のキャビネットに、しっとりした重みのあるターンテーブルと、スマートで敏感そうなトーンアームがセットされ、高級家具のよう。その肝心の音を早速聴いてみます。比較試聴には、同価格帯のベルトドライブLPプレーヤー「LUXMAN PD-151 MARK II」を選びました。

※LUXMAN PD-151 MARK II 試聴レポートは2022年6月に掲載がありますので、こちらのページも併せてご覧ください。

技術的特徴

●スタティックバランスS字型トーンアーム:デノンの集積された技術の中から、精度の高さ、操作の容易さを織り込む。アームの有効長、オーバーハング、オフセット角等の正確性を追求。アームパイプを板バネでフローティングし、周波数特性におけるピーク、ディップを解消。アームの高さ調整機構。アンチスケーティング機能には、マグネット式を採用。カウンターウエイトは16gまでのカートリッジに対応、サブウエイトを使用し26gまでのカートリッジに対応。
●ダイレクトドライブ サーボモーター:3相16極のDCブラシレスモーターを現代技術で制御し、ターンテーブルをダイレクトドライブする。起動は、一秒以内に規定速度に達する。
●回転制度:ベクトルパルス幅変調(SV-PWM)方式を採用。33・1/3、45、78回転に対応。
●アルミニウムプラッター:2.8kg プラッター裏側に3mm厚のステンレス板を固定。
●キャビネット:ダークエボニー(黒檀)仕上げのMDF。積層されたMDFを切削加工でくり抜き、プラッターやアームを固定し、共振を抑制している。
● インシュレーターは高さ調整可。
●モーターを駆動するため、スイッチモード電源を採用。

リファレンス機材

●パワーアンプ:Accuphase/A-80
●プリアンプ:Accuphase/C-2900
●スピーカー:YAMAHA/NS-5000
※LPプレーヤー:LUXMAN/PD-151 MARK II(比較試聴)

DENON DP-3000NE試聴

音の印象

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ー DP-3000NE -
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一聴?太い音で力強い音ではあるが、繊細感があり躍動感があり、一言では言い表せない複雑な音である。ヴォーカルなどは、どっしりとした低音の上に繊細な中高音が浮かび上がる。女性の声の質感、各楽器の質感は自然に表現される。定位は良く、S/N比は高いように感じる。メリハリのある音のようにも感じるが、ドンシャリな音ではない。ヴォーカル、ジャズ、ロック等が魅力的に再現される。クラシック系ソースは、音に曖昧さがなく、旋律が明確に再現され、作曲家、演奏家の意図をつかみ易い。音像がキュと締まり、これがダイレクトドライブの音なのかと思うが、私の経験が少なく言い切れない。

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ー PD-151 MARK II -
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音像や音場は、残響を伴うように緩やかに広がる。音の勢いは優しく、静かさや響きや余韻を感ずる音である。定位はダイレクトドライブ程、明確ではない。クラッシックのピアノや、バイオリン協奏曲のソースの再生に魅力を感じる。ベルトドライブの音の特徴と断言するのは簡単だが、上位機種の音は響きや余韻を残しながら、音像の締まりを感じ、全てのジャンルの音を中庸に再現するので、バランスのとり方なのかと思います。ラックスマンの音は、クラシック系ソースに強みを感じる音だと思います。

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ジャンル別試聴:DP-3000NE

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1)荒井由実 ミスリムから海を見ていた午後
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音は太く感ずるが落ち着いた優しい音。重心が低く、定位が良い。静かな背景の中に、歌手が浮かび上がる。それ程繊細な音では無いが、音楽のエッセンスをうまく伝えている。

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2)八城一夫 SIDE BY SIDE 2 菅野沖彦録音
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どっしりとした低音の上に抜けの良い中高音が存在する。自然感が漂い、音楽に集中できる。録音の良いソースを忠実に再現する。低音と中高音のバランスが良い。落ち着いた、チョット太めの音。

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3)Gary Peacock(ゲイリー・ピーコック) TALES OF ANOTHERよりVIGNETTE
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豊かな低音の上に、明瞭な中高音が存在する。音の太さを感じる。ピアノやシンバルの音は自然で、金属音も質感がある。静かなジャズだが、ジャズの躍動感や音像のリアリティを十分に再現する。再生レンジは相当広く感ずる。音像、音階は非常に明瞭。この音を聴いて、特に、不満な点は無く、十分、音楽に酔える満足のいく音。

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4)バッハ ゴールドベルグ変奏曲 グレングールド
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音が太く、音に迫力がある。低音がどっしりとして、ぬけの良い中高音が存在する。透明度の高い、澄んだ高域ではないが、曲の展開は明瞭にわかる。クラシックの品位や尊厳さはそこそこに感ずるが、元気の良いクラシック。

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5)David Oistrakh (ダヴィッド・オイストラフ) チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
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オーケストラの存在が重圧をもって響いてくる。バイオリンが、その中に明瞭に奏でられる。音は明るく、太い。しかし、バイオリンの弓が弦を擦る繊細な音が再現され、品位の高さを感ずる。躍動的な元気の良いクラシックか。曲の旋律の理解はしやすく、音の表現の曖昧さは無い。音は太いなりに、繊細さも十分にある。

ジャンル別試聴:PD-151 MARK II

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1)荒井由実 ミスリムから海を見ていた午後
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繊細で、綺麗な表現。音像は明瞭。定位は程々。低音の出方は少ない。中高域の再現性が優れている。音の静寂性や余韻や広がり感は良好で、全体的な雰囲気は叙情性に富む。

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2)八城一夫 SIDE BY SIDE 2 菅野沖彦録音
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菅野沖彦録音 ピアノの余韻や広がり、響きが良い。低音もそこそこに出て、ピアノの存在感がある。定位はすこし甘い感じがする。ギターの音も密度高く再現される。聴きやすいジャズ。

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3)Gary Peacock(ゲイリー・ピーコック) TALES OF ANOTHERよりVIGNETTE
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音が静かに広がり、明瞭な音像を作るのではないが、存在感はある。透明感があり、エネルギー感をぶつけてくるのではなく、そこはかとなく存在感を感じさせる音。しかし、一つ一つの音に曖昧さを感ずることはなく、十分に楽しめる音。音の分離は良く、ジャズを十分楽しめる。

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4)バッハ ゴールドベルグ変奏曲 グレングールド
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クラシックのピアノ演奏の雰囲気はラックスマンに分がある。透明感のある音が広がり、品位や存在感や余韻等は良い。ピアノの鍵盤の上の指先がコロコロと渡っていくのが良く分る。コンサートホールの雰囲気をそこはかとなく感じる。曲も分かりやすく、分解性もそこそこ優れている。

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5)David Oistrakh (ダヴィッド・オイストラフ) チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
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オーケストラの音の広がり、存在感が良い。バイオリンの弓が弦にあたり響く雰囲気は、ベルトが良い。余韻や残響感は自然な感じがする。クラシックには、ある程度の響きが必要と感じる。

LUXMAN PD-151 MARK II リファレンス機材 LUXMAN PD-151 MARK II リファレンス機材

TODAY’SONG

今宵はStanley Turrentine(スタンリー・タレンタイン)のBLUE NOTEに残されたアルバム「UP AT MINTON’S 2」を聴きます。スタンリータレンタインのテナーは、決して叫ばない演奏ですが、粘りのある真っ黒な音色で、体に響いてくるものがあります。DENON のLPプレーヤーはジャズのエッセンスを余すところなく伝えてくれるような気がします。

UP AT MINTON’S  2 レコードジャケット UP AT MINTON’S  2 レコード再生

ショートエッセイ:静岡県男声合唱団フェスティバル

静岡県男声合唱団フェスティバルがあり、静岡音楽館AOIに行ってきました。県下の9組による公演で、男声合唱団とは言っても女性もいます。コロナ下で休演期間もあり、やっと開放感に満ちた公演で、演目はポピュラーから、クラシックまでバラエティーに富んでいます。静岡音楽館AOIは舞台周りと、観客席の壁が大理石?で覆われ、非常に響きの良いホールでのなか合唱は無論、ノーマイクで行われる。すると、音場が前回試聴したマーティンローガンの静電型スピーカーが作り出すものにそっくり!!ホワーンと空間が広がり、団員一人一人の声やピアノが漂うように空間に溶け込んでいく。PAを使用していない為かもしれない。合唱団の公演の前半は曲の楽しさ中心で、後半は出演者の歌唱レベルが高く高度な曲で纏めてあるのがよく分った。一人一人のソロが充実し、それが他の出演者と見事なハーモニーを演出し、魅力的なのです。オーディオ機器のヒアリングをやっている為か、何年か前は分りませんでしたが、多少駄耳も進歩しているなと感じました。改めて、弦楽四重奏や、オーケストラを鑑賞してみたい、と思いました。

静岡音楽館AOI

今週の生花:ローズリリー・薔薇、他

店内フラワーアレンジ

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